Day19「爆発」#文披31題

 立ち昇る赤々とした火柱、響き渡る轟音。それに合わせて派手な衣装の役者が跳び回る。休日の朝、といってもあたしには毎日が休日な訳だがそれは置いておこう、主に子供向けらしい特撮は今の時代も派手で見ていて子気味いい。最近の番組は実物ではなく何やら画面に合成することもできるらしいが、はてあの炎は本物なのか。

 最近ようやく使い方を知ったあの子の板切れを借りてつつくけば、思った情報にすぐ辿り着いた。


「ねえ」

「駄目ですよ」


 まだいくらも口に出すより早く、まだ布団に伏せたままのあの子が拒否を示す。さすがにそれは無体だろうと調べ物をした画面をその顔に押し付ける。


「特撮の聖地で爆発体験……。うわ高っ」


 寝ぼけ眼でいつもより悪い目付きが更に歪んだ。そうか金額を見ていなかった。


「確かにお高いね……。なら無理か、残念」


 どのくらい熱いか入って試してみたかったのに、と漏らしてしまいあの子の怒りが爆発する、三秒前の話である。

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