Day15「解く」#文披31題
触れ合う肌が熱い。あの子の後頭部を柱に追い詰め口を吸う。空調のきいた室内のはずなのに、熱がどんどんと増していく。
息苦しげなあの子の様子を見かねて一度唇を離す。すかさず拒むように伸びかけたその手を戒めるように縫い留めた。
「待たないよ」
揺れた瞳があまりに美味そうで、鎌首をもたげた本能を押し殺すように口元に噛み付く。捕まえた手の指を絡めれば、あの子の方もわずかに握り返してきた。それを了承とうけとって二度、三度と柔く食み緩んだ隙間に舌で割り込む。
ぽたり、と垂れた涎が手の甲に落ちた。
いい加減我慢がきかなくなりそうで、繋いだ手を解こうと指を引く。指先が離れるその間際、追いかけてきたあの子の指が、逃がさないとばかりにこちらを握った。興奮にどきりと胸の底がわななく。
「――待たないって言ったのは貴方だろ」
険しい癖に少し濡れた目元に、いつもより荒い言葉に、思わずごくりと喉が鳴る。煽られた衝動に任せて、眼前の体を押し倒した。
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