Day3「文鳥」 #文披31題
今日も今日とてあの子が可愛い。
仰向けに寝そべり見上げた逆さまの後頭部は、刈り上げたところを境に黒と枯野色とに分かれている。日に透けるとそれは色味が薄れて、ところどころ白っぽく見えた。
「ああ、可愛らしい。こうして見ると文鳥みたい」
「なんて?」
こちらの意図を知ってか知らずか素っ頓狂な声で返された。あたしが続けるよりも早く、あの子は手にとった板を叩き始める。
視線を奪われたのは面白くない。構えたばかりにずりずりと這い寄ってその膝に懐く。拒否されないのをよしとみて、そのままそこに頭を乗せた。
「文鳥って、これですよね。どこがですか」
つい、と鼻先に突き出された画面には小鳥の写真が並んでいる。大人の男にたとえるものではないとばかりに、あの子の顔に不満が浮かぶ。
「だってふわふわで丸くて、美味しそうで。ほら、そっくりじゃないか」
手を伸ばしてその頬に触れる。未だ困り眉は垂れているけれど、撫でるほど段々と桜色に染まるそれは、やはり愛らしく美味しそうに見えた。
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