我ナカユビ。故に我あり。

保健室?みたいなところのベットにミイラにされたイリスが横たわっている。


本日二回目のミイラである。(一回目のはレイラのドレスキメラ)


「イテテ‥‥‥」


『大丈夫か?』


「な、何とか.......」


鉱山で生徒さんが仕掛けた対ドラゴン罠に直撃したイリスは、怪我こそ直せたモノの痛みは直せなかったみたいだ。


『回復魔法って、痛みまでは直せないんだな。』


「は、はい。い、痛みまでは、な、直せません。」


『成る程ね‥‥‥』


魔法と言っても、万能ではないらしい。


因みに俺は、対ドラ罠に巻き込まれた時、衝撃波によるショックで気を失っていたみたいだ。


その間、保健室みたいな所に運ばれた訳か。


『ここってハデシスか?』


「は、ハデシス‥‥‥かも.‥し、知れません‥…‥」


『確証はないのか。』


「わ、私、訓練場と、と、トイレの場所以外は‥‥‥.あんま‥‥‥‥‥」


これ以上はイリスもキツそうだし、止めとくか‥.‥.‥.‥


俺も何でかは知らんが、少し体がダルい気がする。


『今日はゆっくり休め。』


「は、はい。」


長いようで、短い闘いを終わらせた俺達は、休眠に入った。



・・・



学舎ハデシスの保健室。


私はベットで横たわっています。


フゥー。あの化け物みたいなA級が瞬時に防護魔法を発動してくれたお陰で、一命を取り留めることが出来ました。


あれがなかったら、私は塵も残らず消し飛んでいたでしょうね。


カーテンの向こうで寝ていると思われるA級に感謝し、起き上がろうした瞬間、


黒髪の少女、メリアが私の方に突っ込んできました。


「ステラァァァッッ!!!」


「ほぶぇッ!」


見事に私の腹に命中し、口から奇声がもれます。


「無事で良かったー!三十分前まで、寮の皆がステラのお墓作ってたからさー、本当に死んじゃったのかと思ってたー!」


「アイツら‥‥.‥」


今までD級だとアオってくる寮の奴らの行動を顧みるに、今回もアオってくる事は火を見るより明らかです。


「いやー。本当にに良かったー。甘味料かなー。」


「そこは感無量だよ。」


「そーだったっけー。」


抱き締めてた両腕をほどき、メリアがカーテンの方を見やりました。


「向こうの人が今回の助っ人?」


「そうだと思うよ。」


「じゃぁ、お礼言ってくる!」


パーッと笑顔になったメリアがお礼を言おうカーテンを開けます。


カーテンの向こうにいたのは、鉱山でみた銀髪の少女でした。


顔や体は包帯でグルグルにされているので、良く見えません。


右手だけは包帯で巻かれてませんでした。


やはり、見間違いじゃなかったようです。


彼女の右手は吐き気を促す程、腐りきっていました。


骨がちょくちょく見えます。


それを見たメリアの顔が青ざめて、見ちゃいけないモノを見た顔になりました。


「ステラ、具合悪いのは分かってるけど、早く寮に戻ろう。ここにいたら危ない。」


「お礼は‥‥.‥」


「お礼ドコロじゃない。アレに興味持たされた時点で人生詰むから。」


そこまで?いや、まぁ。彼女の魔力がヤバイのは知っていますけど、そこまで言いますか?


体が弱ってる私は、メリアに引きずられて保健室から出されました。(体が万全でも、連れ出されますが。)


最後に見た彼女の顔は、寂しそうに見えました。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔王の娘の中指に転生ました。 天上天下ハラムちゃん独尊 @haram723

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ