第8話 君は究極で完璧な姉

飾るだけ、飾られた自室の中、私は思考に囚われていた。


「あの子が......あんな声を出すとか......信じられませんわ.......」


『静まれェェェッッッッッッッ闇の力ァァァァァッッッッッ!!!』


私は妹の思春期の叫び(やや誇張)を思い返し、妹の変化の原因について考え始めた。


でも、そこまで深く考えるまでもない。


やっぱり........私のカリスマ?


..........................あり得る。アリエスギル!


お父様が見てない隙に、今まで可愛がって(イジめて)きた中で、あんな声は聞いた事がない。


あの子は不気味だった。


『人形』。


あの子にピッタリな言葉。


何を言っても、何をしても、『人形』のように黙っている。


そんなお人形さんが無謀にも家出をし、苦労という苦労をして、究極で完璧なお姉さま(妹が家出をして三日後、普通に妹の存在を忘れた姉)と再会.......................再会の喜びでハシャぎたくなるが、あの子は思春期だから、恥ずかしくて喜びをマトモに言えず、思春期の叫びをしてしまった................


フフフ.............ナルホドですわ!


全ての謎が解け(?)、喜ぶ第二王女レイラだった。


スープの具やら何やらで、上半身が徹底的に汚れたイリスに俺は、誠心誠意に謝ってる。


『すまん...........つい.........』


「だ、大丈夫...........です?」


『なんで疑問形なんだよ........』


「だ、だから........だ、大丈夫ですって.......【アリーシア・ネロ】」


イリスが聞き慣れない語句を口に挟んだ瞬間、何もない空間に水が生まれ、イリスの服を濡らさないまま、スープの汚れだけを洗い流した。


『え?!今の何?!魔法?!』


それを最も間近で見た俺は、久しぶりに童心に帰った。


「ま、魔法ですね‥........やはり、な、ナカユビさんの世界には‥.....‥魔法って‥......‥‥‥」


『なかったよ。』


「で、ですよね‥.......‥」


質問が尽きた。魔法関連の質問は、聞いても分からんだろうし‥......‥


俺はエレベーターでの一件を思い出し、悩み始めた。


気まずい‥......‥さっきのお姉さま襲撃事件も大きいが、元より俺の質問ラッシュで成り立っていた会話だ。


質問が尽きたら、会話も途切れる。単純明快だ。


なんかないかな‥....‥‥‥質問できそうなやつ‥......‥


‥....‥.‥うん。あるっちゃあるな。聞いて失礼にならなかったら良いが。


『イリス。』「はい。」


『イリスって今、何歳?』「じゅ、十四歳です。」


『その‥....‥学校みたいな?ナニカ学ぶ場所に行かないの?』「ああ、が、学舎のことなら、休学ぅ、してますので‥.....‥」


『休学?学校休んでるの?』「は、はい......‥家出した時点で、じ、自動的に休学になりました。後、が、がっこーじゃなくて、学舎です‥......‥」

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