第3話 ヤンキー番長と女子高生探偵。何も起きない、はずはなく……!!!


「って言う話だよ」


「……」


 なぜ俺は、うちに上がり込んだ自称探偵の女子高生……たぶん同い年に。


 俺が調べ上げた、事件の情報をしゃべっているのだろうか。


 ……分かってる。


 男は、美人には弱いって事。


 あと。


「私の推理では、あなたは犯人ではない。

それを証明するためにも、お話を聞きたいのです」


 この時点で、警察の無能コンビより。はるかに有能と思ったから、話したんだ。


 しかし。


「……驚きました。まさか、ここまで推理が進んでいるとは……」


「え、お前。この情報知らなかったの?」


「ええ。私は北校の生徒ですので。そこまで詳しい情報はないんです」


 情報収集で、ヤンキーに負ける探偵ぇ……。


 信じて良かったんだろうか。


 ちょっと後悔してきたかも。


「でも、流石ですね! 普通、自分の学校で事件が起きたら、情報収集どころじゃないです! 

でも、もうここまで調べて! 学年全員や、教師! 用務員さんの話も聞けて! 凄いですよ!!」


「そ、そうか? まァ、番長だからな!」


「へー!! 番長なんですね! すごーい!!」


 お、おう! まァな! うん!


 ……悪い奴じゃなさそうだな。


「しかし、ここまで調べても、肝心の犯人が分からねぇ」


 俺は軍か、秘密組織の仕業だと思うんだけどなァ(スパイ映画好き感)。


 どうしたもんか。


「いえ、そうでもないです。あなたの情報のおかげで、かなり絞れてきましたよ」


 ……え?


「なんかわかったのか?!」


「ええ。まず、私はこの事件には不審なものを感じているんです」


 何?


「まず、死んだ先生ですが、実は私の高校。北天堂高校の先生でした。

入間先生といいます」


 え、そうなの!?


 北校……曾野市にある、学校。俺らの南校は南町にあって。そこから、北へぐっといったところにある。進学校だ。


 北町にある北天堂高校なので、略して北校である……の先生!?


 マジで!?


「マジです。っで、入間先生は、二つの点から。南校に行くはずがないんです」


 二つの点?


「一つは、『生徒指導に熱心ではない』事。

実は、生徒思いではなく、できるだけ手を抜く先生なんです」


 なんだそりゃ。熱血教師の真反対だな。


「ええ。まさにそうです。

調べたら、色々理由を付けて自習とか、しょっちゅうだったそうで」


 うわー、やる気ねー!!!


「なので、警察の主張する『生徒指導のために、わざわざ不良で有名な高校に行く』はずがないんです」


 それはそう。


 てか、警察! あの無能コンビ!


 そんな事主張してんの!?


 やっぱだめだな!!(呆れ)


「あと、もう一つ。行くはずのない根拠が」


 ああ、二つって言ってたな。もう一つは?


「南校は、地元では誰でも知ってる不良校です。

そんな不良校に先生が、『一人で何も持たずに行く』のも。

心理学的に考えて、ありえません」


 ……あー。そう言えばそうだ。


 曽野市のアンタッチャブルと言われる南校に、一人で来る。


 何も持たずに。


 ありえんわな。


 普通は、集団でくるか。(他校のヤンキーどもが、遠征で来た時)


 学校にアポとって、襲わないように周知されるぞ。(教育実習の時)

 

 マジで!


「以上の事より、先生が自主的に南校に行くことは、まずありえない。となると」


 俺らの推理通り! 死体を運んでて、花火で落ちた!!


「その可能性が高いですね。飛行中に暴れられると困るので、その時は死んでたでしょう」


 そうか! やはり軍関係者が犯人!


「いえ、それはないです」


 え?


「考えてみてください。花火が当たったんですよ? なら。


『飛行機やヘリコプターが通っていれば、もっと大事故になった』はずです」


 ! そっか。そうなるよな。


 じゃあ、UFOもないかー。


「そもそも、UFOは存在しないでしょう」


 はー? いますけどー? 


 証拠一杯ありますけどー? 


 アメリカが隠し持ってるってもっぱらの評判ですけどー???


「それは信用に値しない情報で、ううん。やめましょう。話を戻します」


「つまり、花火が当たって、死体を落したが。その時飛んでたのは飛行機ではなく。もっと小さいもの。例えば」


「パラグライダーとか」


 え、バイアグラ???


「ぱ、パラグライダーです!!!/// ううん!/// ここで私の推理を話してもいいですか」


 あ、どうぞ。


「ありがとうございます! では、初めから話しましょう。この事件の真相を!!」


 おお。そうか。


 なんか、めっちゃノリノリになったな。この子。


「まず、犯人は、被害者をどこか……おそらく、犯人の家で殺害した後。車のトランクに乗せます。

そこには、パラグライダーも積み込んでいて、犯人は、車を山に向かわせます」


 山って言うと、あれか。北町にある山。


「北山ですね。あそこは、パラグライダーを良くやる場所で有名ですから」


「しかし、そこで第一のトラブル。ヤンキーをひきかけた」


 ああ、それで1年がボコボコにして、山まで追いかけ……あ、その車が!?


「ええ、犯人と死体が乗ってたんでしょう」


 え。マジ!?


「そして、山のパラグライダー場所まで行った犯人は、車を乗り捨て。パラグライダーを準備」


「死体を固定して、一緒に滑空を開始します」


 ってなると、犯人は南町を目指したのか?


「南町というより、南町の南にある、阿ノ川でしょうね。そこに死体を捨てて、何食わぬ顔で家に帰るつもりだったはずです」


 そうかー。でも、それならわざわざ南校の上とおらなくてもいいような?


「パラグライダーに死体ですからね。操作が難しくて、コースがずれたんでしょう」


 あー、そういうことか!


 ……死体でコースずれるって、結構ガバガバな計画だなァ。


「そして、ずれたコースで南校に来たことにより!」


 打ち上げ花火が直撃した!!


「そうです!! 2年生の証言。燃えている何かを見たって言うのは、花火で燃えるパラグライダーだった可能性が高いですね」


 !! あ、なるほど! 


 そういうことか!!


「それで、死体を落した犯人は、おそらく火傷をしたはず」


 まァ、花火直撃だしな。


「ええ。犯人はパラグライダーを捨てて、慌てて逃げた。パラグライダーは燃えて。そして」


「燃え残った一部を、用務員さんが見つけた。それが、燃えたビニールです」


 え! あのビニールって、あ!


 そうか! そういうことだったのか!! 


 かーーー!! なんで気付かなかった!!!


 あああ~~~!!!(悔しい!!)


「そういうもんですよ。分ったら単純ですが、分かる前は難しい。

っで、そうやってパラグライダーが燃えた犯人は、南校から逃げ出し」


 次の朝! 俺が屋上で死体を見つけると!


「ええ、そういうこと」


 マジかー! うわー! 


「そして、私の調べでは昨日の深夜に大火傷で入院した患者は、3名」


 え、どうやって分かったの!? それ!?


「井戸端ネットワークと、学校でのネットワークと、ニュースや新聞、SNSなどですね。とくに、新聞は地方紙なら、小さな事件でも乗りますし。SNSがあれば、もっと情報を掘れます」


 あー、そっれはそう。


 いい時代になったよなー。


「そこで確認きてのは、3名です」


 ほう!


「一人目は、タクシー・ドライバーの渡さん。休憩中にくわえたばこで寝てしまって、服に引火。小規模のボヤで、新聞に乗ってました」


 タクシー! 車!!

 

「ありえそうではありますね。最近、パラグライダーも始めたそうです。」


 そいつが犯人だ!!


「お待ちを。二人目は、高橋先生。入間先生と同じ、北校の先生で、校長先生から『家で天ぷら中に火災となって、大やけど。入院』と聞きました」


 ありえそうな理由だな。


「ちなみに、趣味はパラグライダーです」


 そいつが犯人だ!!(二度目)


「ステイ。三人目は、元プロレスラーの郷田さん。今の仕事である工事現場で、火災が起こり。人を助けて怪我」


「パラグライダーが好きで、特にパラグライダーにモーターを付けた、モーター・パラグライダーが得意とか。SNSに載ってました」


 そいつが犯人だ!!(三度目)


「早速捕まえようぜ!!」


「無理です。証拠がない。誰が犯人かの証拠が」


 あー、そっかァァあ!!! クソぉぉお!!!


「でも、証拠がある場所は分かるわ」


 え?


「山の車ですよ。すでに犯人が回収している可能性もありますが、犯人は大やけどを負ったはず。つまり!」


 !! まだ入院してて、車を回収できてない!?


「そういう可能性は、高いです!! 死体乗っけてて車ですから、人には頼みにくいでしょうし!!」


 おっしゃ! じゃあ、さっそく回収しに行こうぜ!!


「え、今は無理ですよ! 明日の朝にしましょう」


 む。それもそうか。


 もうすぐ夜だしな。


 じゃあ、明日な!


「はい! でも、意外ですね。警察に協力とか、学校があるとか言わずに。私に積極的で」


 警察は、好かん(直球)。


 いや、全員が全員嫌いとまではいわんが! この事件の担当の無能刑事コンビが、俺を犯人と思ってるからな!


 犯人捕まえて、奴らに吠え面欠かすまで! 絶対に協力せん!!(断固たる決意)


 あと、うちの学校はテストさえそれなりの点数か、それなりに登校してれば卒業できるから。


「なるほど」


 ってか、それより! 犯人逮捕と! 警察ざまァ! が大事だ!! 


 俺の名誉にかかわるからな! 決まってんだろ!!


「いいですね! 気に入りました!! 明日、楽しみにしています!!」


 おう! 気いつけて帰れよ!!


 っと、見送ろうとしたら。


 母ちゃんに。


「馬鹿! そこは送ってあげなさい! もう夜でしょうが!」


 といわれ。


「ダイジョブか~?」


「ひゃ、ひゃい! 大丈夫です!」


「しっかり捕まれー」


「ひゃ、ひゃあああ///」


 結局、北町まで俺がバイクで送った。


 バイク初めてだったようで、めっちゃ興奮してたな。


 ちょっとかわいかった。


 あと。


「いいですね! バイク! これなら山いくのも楽です!」


 ってことで。


 明日は、俺がアッシーすることになったのである。


 そして!


「いくぞー! リリアァァあ!!! ヒューーー!!!」


「頼みまーす! わあああ~~~!!!」


 次の朝!


 俺たちは、バイクを走らせ!


 北山へと向かったのであった!!!


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