第2話 馬鹿なヤンキーたちの推理大会で、真相は見えるのか?


「えー、警察の話じゃ10時におっさんは死んでる! つまり、10時か、それより後には屋上に死体はあった!!」


 そう黒板に書いていく。


 これは警察の情報だから、確かだろう。


 流石に鑑識まで、あの無能コンビ並みとは思いたくない。


「うんうん」


「せやな」


 でも、その時! 誰もおっさんを見てない!


 ――チョーク! カツカツ!


 黒板に、おっさん・ノールックっと!


「どういうこっちゃ?」


「「「「「さァ???」」」」」


 ほんと、わからん。


 どういうことだ?


「あのよ、それなんだけどよ。死んだおっさん、俺らの所じゃなくてもセンコーなんだよな」


 ああ。教師らしいな。


 警察が言うには。


「ならさ、学校来て、3年に喧嘩売って、殺されたんじゃね?」


「「「「「!!!」」」」」


 その発言に、2年生全員が、はっとした顔をした。


 ……ぶっちゃけ、それを考えなかったわけじゃねぇ。


 今の3年生は『血の世代』といわれるほど、血の気が多いのは事実。


 てか、去年の2年(今の3年)VS1年(今の俺ら)の下剋上抗争で、それは嫌ってほど知ってる。


 だから、センコーを血祭りにあげたしても。


 ぶっちゃけ、不思議じゃねぇ。


 やるだろうな。うん。


「ありえるー!」


「やりそー!」


「血の世代だもんなー」


「ねー!」


 いや、でもなァ。


「……いや、無理じゃね?」


 うん。俺もそう思う。春日。


「え、なんで? 春日っち!」


「いやさ、放課後って正門閉まるじゃん。っで、その後、どうやって学校に入るよ」


「そんなん、フェンス乗り越えてに決まってんべ!!」


「そうそう! 南校名物! 脱策フェンス!! 2メートルのあれを超えて行けってな!!」


「「「「「ヒューーー!!!」」」」」


 おう。そうだな。


 俺らは、あれを乗り越える。


 でもよ。


「それを、中年のおっさんがわざわざして、南校に入るともうか?」


「「「「「「……あー」」」」」」


「それ。極道。俺もそれが言いたかった」


 そうだな。春日。


 俺死体見たけど、あのおっさんが身軽にフェンス超えて、シュタッと着地するところは、想像できんわ。


「足の骨折りそう」


「最悪死ぬんじゃね?」


「それな」


「じゃあ、入ってきてないのか?」


「正門も閉まってるからなー」


「でも、死体は屋上ジャン」


「それな」


 うーん。そこがネック。


 入れないはずなのに、死体は屋上に。


 謎だ。


 なんで、屋上なんだ? うーん???


「なァ、実はアポとって正門開けてもらったとか、ねーの?」


「ああ、アポとって襲うなって周知来たら、襲わねーしな。俺ら」


「いや、アポはなかったってさ。先生と仲のいい、村上が確認したから。間違いないよ」


「そっかー」


「用務員さんとか他の先生にも聞いたけど、正門は絶対しめて、開けなかったらしいぞ」


「ふーん」


「じゃあ、どうやって入ったんだよ」


「知るか」


「堂々巡りィィい!!!」


「これもう分かんねーな」


「逆に分かる奴いんのかよWWW」


「犯人はわかんじゃね?」


「あ、そっか!」


「なるほどなー!」


「犯人出てこいー! 頼むぅぅう!!!」


「トリックおせーてー!」


「「「「「ぶはははWWW!!!」」」」」


 ……逆、犯人。


 あ!


「待て。ひょっとして、逆か? 下からじゃなく、上から入った?」


「え?」


「何? なぞなぞ?」


「上からボンジュール?」


「下ネタ?」


「いや、そうじゃなくて。おっさんが、入ってこれないってことは、いま語ったじゃん。ならさ。

『犯人が、上から捨てたと』は考えられないか?」


 下から自分で入ったんじゃないんなら!


 上から誰かに捨てられたんじゃねぇの!?


「「「「「あ!」」」」」


 少なくとも『おっさんがフェンス乗り越えて! 打ち上げ花火してる、血の世代に喧嘩売った!』という説よりは、説得力あるんじゃね?


「「「「「あるある! マジで!!」」」」」


 だよな! ただそうなると。


 なんで屋上に捨てたかだが。


「うーん?」


「三年に罪着せたかった?」


「あー、ありそう」


「どこででも喧嘩してるもんな。あの人たち」


「それは俺らもそう変わらん」


「それな」


「じゃあ、極道にじゃね?」


「怨恨の可能性!?」


「マジかよ! 喧嘩に負けた雑魚の仕業か!?」


「じゃあ、容疑者おおすぎるっぴ!」


「曽野市だけじゃなく、遠征とか、逆遠征とかで来るヤンキーども。全員芝居足しなァ」


「レディースに喧嘩売られて、しばいたこともあったぞ」


「もっと容疑者増えたじゃねぇか!(憤怒)」


「わかんねぇぇえ!!!」


「ああああああ!!!」


「あのさ、ちょっといいか?」


 うん?


「みんな、犯人が意図して屋上に捨てたと思ってるけどよ、事故で落としたんじゃね?」


 え。事故?


「事故?」


「あ、不慮の事故って奴?」


「そーそー! それ!」


「いや、そんな訳」


「空で何起きるってんだよ」


「なんもぶつからねぇだろ」


「鳥は飛んでるやろがい!」


「そうそう」


「事件夜中だよ! 鳥さんも寝てるよ!」


「そうそう」


 ……ぶつかる。空で……。


 あ!!!


「ん? どうした。極道」


「花火!!」


「え?」


「三年の、打ち上げ!!」


「「「「「……あ!」」」」」


「「「「「「ああああ!!」」」」」」


 死体運んでて、花火に当たって! 落ちた!!


 南校に狙いつけたんじゃなくて! たまたま、花火で燃えて落ちた! 


 この可能性あるんじゃねえ!?


「あるある!! あり得る!!」


「点と点が、つながるぅぅう!!! フーーー!!!」


「「「「うおおお!!!」」」」」


「「「「「「すっげえええ!!!」」」」」


「ってことはよぉ!」


「犯人は!!」


「「「「「飛行機のパイロット! 軍人!!」」」」」


「「「「「ヘリコプター!!」」」」」


「「「「「UFOの宇宙人」」」」」


「「「「「だァァあ!!!」」」」


 ……あ?


「いや、それはない」


「なくはないやろがい!」


「宇宙人の方がありえんわ!!」


「うるせー!」


 軍だって! 絶対!!


 ああああ!!!


 ――あーだこーだ! いーだあーだ! うおおお!!!


「「「「「んっほおおお~~~!!!」」」」」


 あー! もう滅茶苦茶だよ!!


 もう解散だ解散!


 今日は、帰れぇぇえ!!!


「「「「「うおおお!!!」」」」」


 っというわけで。


「あ! 出てきました! 六道さんですね!? 南工業高校での殺人事件について! 御話を!」


「あなたが殺したんですかー! 聞いてるんですよ!」


「逃げるのか―! こたえろー!」


「ああん!?(ブチ切れ金剛)」


「「「「「!? ぎゃあああ!!!」」」」


 学校出るとマスコミがいるが、にらみつけると即座に逃げた。


 なんだ、あいつら。


 根性がねーなー。


 まァ、纏わりつかれると、うざいからいいけど。


 そう思いつつ、俺はバイクに跨り。


 夕日に照らされながら。


「ただいまー」


 一軒家の、我が家に帰って。


「おかえりー。ちょいちょいちょい! ねぇ!


あんた、『あんな美人な娘』とどこで知り合ったの?」


 元ヤンで、今でもギャルっぽい母ちゃんに、そう言われたのだ。


 ……あ?


 何?


「いやー、めっちゃ礼儀正しい娘じゃん! いきなり手土産のケーキ持って尋ねてきて、ビビったね!! しかも、美人だし!」


「っで! いつ知り合ったのよぉ! どこまでやったァ? このこのぉ!」


 は? え?


「っま、いいや! とりあえず、あんたの部屋に通しといたから! 二人でゆっくりね! あ、ゴムはしなさいよ~。キャー!///」


 はァ?


 何言ってんだ? コイツ。


 と思いつつ。


 階段上って、2階にある。


 俺の部屋を開けると!


「六道弥勒さんですね。初めまして。


『五十嵐リリア。探偵です』。お話を聞いてもよろしいですか?」


 なんか、探偵と名乗る不審者(黒髪ポニテのJK)がいたんだが。


 誰ぇ???


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