ヤンキーの俺、犯人扱いされるので。女子高生探偵と一緒に事件解決! 犯人と警察に、ざまァしてみた!!
@Risusan
屋上におっさんの死体事件
第1話 通報したら、犯人扱いされた俺。ブチ切れる!
「! 極道さん! ッチ―ス!」
「「「「「チース!!」」」」」
「おう。おはよ」
そう舎弟たちに挨拶し、俺は学校……天下の不良高校。南工業高校の正門をくぐる。
1年中喧嘩してる、地元最凶の不良校。
腕試しにやってきた不良が、泣いて逃げ出し、命乞いする。
警察も、おいそれとは入れない。街のアンタッチャブル。
そこまで恐れられてる高校の、番長こそ!
この俺!
ここらへんじゃ、六道がなまって極道で通ってる。
以後、お見知りおきを。
「さて、屋上行くか。晴れててよかったぜ」
てなもんで、朝にガッコに来た俺は、まず! ルーティンワーク!
屋上へと行く!
んで!
「んー! いい景色! やっぱ読書は屋上に限るってな!!」
漫画や、麻雀卓があるから。
面子が揃うまでのんびり待。
――ドサ!!
「……」
え?
あ、ありのまま起こったことを話すぜ。
屋上の、俺の定位置。
マージャン卓の椅子に座って、マンガ読み始めたら。
屋上におっさんが、降ってきた!?
え!?
あ、ああ! 間違いねぇ!!
屋上につながる階段室! その建物の屋根の上から!
全身血だらけのおっさんが、堕ちてきたァ!!
ぎゃあああ!!!
「お、おい! 大丈夫か!? おっさん!!」
返事なし!
息は……してないな。
これ、死んでる!?
ええええ!?!?
「と、とりあえず! 通報! 警察に!!」
めっちゃ混乱しながら、スマホを操作。
多分、人生で一番パニくっての、通報だったと思う。
かくして。
「いい加減吐いたらどうだ? 六道。やっちまったんだろ?」
「ちげーよ! へぼ刑事!! あんなおっさん、見たこともないわ!!」
俺は、署に連行され。
2人のへぼ刑事から、取り調べを受けるのだった。
はァァあ!?!?(ブチギレ)
「そうはいってもよぉ。害者は、教師だった。
あ、これ免許証の写真な。よく見ろ。知ってるんじゃないか?」
だから、知らないって!
「お前は、名の通った不良だからな。かっとなってやっちまったんだろ? うん?」
ちがわい!!
写真見ても、全然覚えがねぇよ! こんなおっさん!!
「往生際が悪いねぇ~。さっさとはいてくれたら、楽なんだが」
誰が吐くか!
自供の強制は違法だぞ!!
ドラマでやってた!!
つーか弁護士呼べ!! 弁護士!!
お前ら訴えたるわ!!
っと、へぼ刑事たちと睨み合いしてたら。
「あの、笹塚刑事。ちょっと」
「ん? はい……なんだって!?」
なんか、あったらしい。
おっさんは、一度廊下に引っ込んだ後。再度入室。
めっちゃ渋い顔をして。
「……死亡推定時刻が分かった。昨日の夜。10時頃だ」
なんか、すげぇ重要なことを言ってきた。
って、え。10時!?
なら!!
「お前のアリバイは……あるなァ。はー(溜息)」
ああ。あるだろうな! そりゃあ!!
だって昨日は。
「繁華街でゲームして、食べ歩き。そこで、別の高校に喧嘩売られて大げんか。全員しょっ引かれて、警察で大目玉食らい、解放されたのが夜の11時」
10時から11時までは、警察所にいた!!
完璧なアリバイがあるからなァ!
「で、でも笹塚さん! こいつが犯人に決まってますよ! 見てください! 金髪! ヤンキー! 不良! 何人か殺してそうな雰囲気だし! こいつですって!!」
「ふざけんなよ。へぼ2号! 名誉棄損で訴えるぞ!!」
弁護士ィィィ!!!
早く来てくれぇぇえ!!!
「その通りだ。西川。釈放してやれ。帰っていいぞ」
「……くそ!」
クソって言った! クソって言ったぞ! こいつ!!
あんま舐めてるぞマジで訴えるからな?
金はある方だからよぉ!!
警察の態度めっちゃ悪かったって、言いふらしてやろ~!!!
「お前のトリックは分からない。
だが、絶対に暴いて! お前を刑務所に送ってやる!!
警察官として!!」
……マジで舐めてるな。おい。
いいぜ! 訴えるとか面倒だ。ここで決着つけよ。
殴り合いしようやァ!
「!? 何!?」
アリバイある、無関係のヤンキーと喧嘩して!
真犯人! 野放しにする、無能警官!!!
かかってこいやァァあ!!!
フーーー!!!
「!! この!」
「西川ァ!!!」
「……はい!」
っち、アー、むかつくわー。
釈放されたけど、頭っから俺を犯人と思ってる警察も!
死体をガッコの屋上に置いた犯人も! 全員むかつく!
よし!!
「ぜったい犯人暴いて、捕まえたる!! 警察より先に!!」
吠え面かかせたるわ! 犯人! 警察ぅぅう!!!
番長舐めんなやァ! おお!!!
「って訳で、ガッコへ来たが。おー」
「うっらァ!」
「ボケぇ!」
「ぎゃははは!!!」
――わーわー! ぎゃーぎゃー! ドカボコ!!
生徒はいっぱいいるなー。通常通りだ。
さすが、南校。
死体一つじゃ、誰もビビらねぇ。
いいガッコだわ~。
じゃ!
「調査していくかね」
話を聞いていこう!
事情聴取だ!!
「おーい! おっちゃん! ちょっといい?」
「あー? おおなんでぇ。六道」
まずは、ガッコの校庭で見かけた、用務員さんに聞く!
「10時ころ? 家にいたけど」
ですよねー。
「ああ、普通に飲んで寝てたよ。しかし、まさか学校にしたいとわねーって、あ! なんだこれ!?」
うん?
「だれか、ビニール燃やしたな! テントか? 偉いカラフルな! デカいビニール!!
たく! どこのドイツだ!」
あー、生徒かもなー。
ビニール燃やすなって、言っときますわ。
「おう、頼むよ! ほんとに!!」
ふむ。あんまりいい話はなかったな。
次!!
「おーい。1年。1年の頭いるかー」
やってきたのは、1年のクラス。
南校は、2階が1年、3階が2年、4階が3年で、それぞれ5~6クラスあり。一クラス、50人。
いちいち聞くのはめんどくさいんで、1年の事は1年の頭。ヘッド。リーダー格に話を聞くのが鉄則だ。
「あ、極道番長! チーッス!!」
「チーッス!!」
「「「「「チーッス!!!」」」」」
「ん。頭は?」
「今来ます! 少々お待ちを!(ライター! っさ!)」
「いや、俺は吸わんからいい」
「っし、失礼しましたッッッ!!!」
「「「「「したッッッ!!!」」」」」
おお、今年の坊主(1年の事)は、きちんと教育うけてるな。礼儀正しい!
っと、感心していると!
「極道さん。ちーっす」
「「「「「ちーっす!」」」」」
1年の頭が来た。
ああ、金髪で反りこみ入ったやつだ。
早速取り巻きも10人従えてる。
反骨心すごそうだな。
「おう。昨日の夜、10時。1年何してたか知りたいんだけどよ。把握してるか?」
「ええ、知ってますよ。何人かは家に帰ってますけど、1年のほとんどは、全員俺と一緒でした」
ほう。ってことは、遠征か?
でも、曽野市の南は、2~3年のシマだし。
だとしたら……北町か?
1年から橋越かよ。気合入ってんねぇ!
*南町と北町の間にはでかい橋があって、そこを超えていく遠征を、橋越えという。
「ほーん。そうか。で、何してた?」
「教えてもいいっすけど、タダってわけにはねぇ」
あ?
「聞きたいんだろ? 先輩。頭下げろや」
「「「「「へへへ!!」」」」」
へー、そうか。そういう態度か。
番長なめるんじゃねぇぞ! こらッッッ!!!
「口の利き方に気をつけろよ。坊主」
俺は、今。調査してんだよ。
ガキの遊びに付き合う気はねぇ!!
「そうかい! なら!」
「倒して聞いてみろやァ!!」
「「「「「おおお!!!」」」」」
ああ、そうするよォ!!
「必殺! 机タイフーン!!!」
おっらァァあ!!!
「「「「「え!? ぐわあああ!!!」」」」」
――ドッゴォォォンンン!!!
はい! 俺の必殺技が一つ!!
近くにあった机! 掴んで大回転!!
相手巻き込んで、ぶっ倒しィィい!!!
ウイーーー!!!
「ぐが!」
「うげ!」
「ひぎいいい!!!」
「!? く、くそが!! いきなり武器使うとか、シャバ僧(かっこ悪い)じゃねぇかよ!
それでも番長か!!」
「うるせぇ。そういうのはせめて、タイマンで挑んでから言え」
10人の取り巻きと突っ込んで、床なめてるほうがシャバイわ。(ド正論)
せめて、お前がタイマンで挑んできたら、俺も正々堂々。
ステゴロで、頭かち割ってたよ。
「っく!」
ほら、シャバイ真似して負けたんだ。
昨日の10時に、どこで、何してたか! キリキリいわんかい!!
「っく! わかりましたよ! 昨日の10時ころは」
おう。
「……山にいって帰った」
は?
何言ってんだ、お前?
「ちゃんと話せ」
「……昨日、9時半ごろに『北町の商店街で遊んでた』んすよ。
そしたら、『黒い車にひかれかけ』て、全員で追いかけたんす」
ふむ。あそこは、そんなに車通らないけどな……。
まァ、いいや。
それで?
「バイクで追っかけて、車蹴って、殴って、ボコボコにしたけど、止まらなくて。
そのまま、山に逃げられたんすよ。
だから、帰りました」
なるほど。
つまり、『北町の商店街から山まで、車追っかけてた』と。
そんなことがねぇ。
「わかった。ありがとな。次はタイマンでこいや」
「うっす」
あと、ビニール燃やすな~!
「え、あ、はい?」
よし、1年はこんなもんだな。
じゃあ、次!!
「まァ、2年は俺が番長でぇ、クラスのことはだいたい把握してっからあれだけど。
だれか、昨日の10時ごろ! なんか見たり聞いたりしてないか~!?」
っと、2年のクラスの廊下で叫んだら。
「いやー」
「どうだろ」
「普通に寝てたし」
「遊んでたし」
「喧嘩してたし」
「カラオケしてたし」
「彼女とイチャイチャ♡! してたし」
「死刑」
「死ね」
「おらァァあ!!!」
「ぐえええ!!!」
はい、有益な情報はなさそうですね。
解散。解散。
次、3年にいくかー。
っと思ったら!
「あ、でも待てよ。極道~」
「あん?」
「俺さ、昨日『川越え』で、西町で喧嘩しててぇ!」
解説します。
曽野市の南町と西町には、でかい川があり、橋がある。それを超えるのを川越という。
「勝って、コンビニとレストランで食ったり! 買ったりで! 楽しんだ後! チャリ漕いで、橋わたって、戻ってぇ~」
その話長い?
あと3分で終わらなかったら、次行くぞ。
「要点まとめて話せよ」
「お前ほんと、話長いよな」
「長すぎィィい!!!」
「もうちょとまとめてどうぞ?」
「その、でーでーいうのをやめなさい!!(あふれ出る母性)」
「うるせーーー!!!」
あー、もういいから。
要点を話せ?
「ったく! でよォ! ちゃりこいで、南町に戻ってきて、南校の前通った時だよ!
『屋上から火柱上がって、空がめっちゃ燃えてたように見えた』んだわ~!」
え、燃えた? 火柱?
なにそれ???
「あれじゃね? 三年の」
「ああ、打ち上げ花火大会するっつってたか」
! あー、あれねー!
そうか。三年がやってたのか。
じゃあ、なんか知ってる可能性あるな!
よし!
「話聞くか。あ、それとビニール燃やすなよ」
「え、あ、はい」
石上さんに聞いてみよう。
「おはようさんです。石上さん」
「おお、極道。釈放されてよかったな」
「そりゃ無実ですからね~」
3年に話を聞くなら、3年の教室にいる、元番長に聞いたほうがいい。
ああ、俺の前の番長で、俺が倒した人だ。
名前は、石上達也。
かなり強い人で、俺が番長になっても、彼を慕ってつるんでる友人の多い男。
実際、クラスにいっても。友人たちと賭けポーカーしてたしな。
「単刀直入に聞きますが。昨日の10時。屋上で何か見ました?」
「おい。極道。口に気をつけろ」
「俺ら疑ってんのか」
「サツかてめぇ!!」
雑魚供は黙ってろ。俺は石上さんに聞いてんだ。
しゃしゃるんじゃねぇ。
「「「「「何を!!」」」」」
「やめろ、極道が正しい」
「「「「「!!!」」」」」
「俺が同じ状況なら、俺も極道にそう聞く。だから正直に言うよ。
俺たちは、屋上で花火をしてたが。何も見てないし、気づかなかった」
……なにもですか。
「おう。何もよ。さ……ううん! いろいろ飲んで騒いで、音楽かけながらのパーティーだったからな。あんま覚えてない」
あー、派手に騒ぎそうだしな。3年生。
そりゃあそうかも。
「しかも、おっさんが降ってきたのって、階段室の屋根ん所だろ?」
「ええ」
「っで、そのおっさんスーツって黒か?」
「ああ、黒めのだったすね」
死体見た感じ、結構黒かったわ。
まァ、元はベージュのスーツが、血のせいで赤黒くなってた感じだね。ありゃ。
「あー、じゃあ、分かんねぇわ。
夜で暗いし、花火と飯で、盛り上がってたし。
階段室の上なんて、そうそう見ねーよ」
そっかー。
わかりました。ありがとうございます。
あ、それと!
「ビニール燃やすなって、用務員さんが切れてましたよ」
「? え? ああ、分かった……ビニール?」
ん? この感じ、燃やしたのは3年じゃないのか?
うーん。
「あんま、わかんなかったなァ」
一回、整理するかー。
んで!
「一回情報! 整理するぞォォお!!!」
「「「「「うおおお!!!」」」」」
2年の教室で! 学年全員! 集めてぇ!
推理大会じゃーい!!
ウイーーー!!!
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