第105話 弱者の抵抗/限られた選択(15)
検証作業を中断する。
しかも、たかが、子どもふたりのために。
自らの行動がジョンには、信じられない。あってはならない違背だった。
こんな中途半端では、
だが、知ったことか。もう我慢できない。この子どもたちは、とにかく
そして、この行動は、悪性たる自己に反しない。
悪とは、あらゆるを省みず、己が
やりたいことを、やりたいようにやる。
最中に起こる外界との摩擦。自他の願いに内在する対立命題。其の相克、他なる願いを踏み
そうだろう
ゆえに、
この瞬間においてのみ、
埋め込んだ、
願い命じるは、
新たに伸びるもの。まず、骨が形成され突出する。血を
だから、
つけ加えるなら、彼は、王が目を背ける烙印を負う者。ゆえに、
原点復帰の不条理が、皮膚を形成し、肉を覆うころには、――復旧された
迫り来る
形成されるは、包囲と飽和の
多少、つぶれても構わない。
激震する擬神を、――ジョンの単眼が見据える。
稼働したジョンの手がぶれた。
担い手が意志した斬刃の圏内。措定された領域に侵入することごとくが寸断される。
間合いも、軌道も、鋭さも。背中から生やした異形の腕など比較にもならない。
当然だろう。彼は、みずからの弱さを超克するため、それを振り続けた求道者だ。
剣の扱いをこそよく心得ていて、――怪物そのままの
ジョンの傷跡で埋め尽くされた両手。握られていたのは、かろうじて、――しかし、確かに“剣”という
反り返る片刃。刀身は短い。まるで、人骨を削り出したように、鋭く痛ましい
なのに、まるで水銀だ。
とろりと
連なり続いて、
尋常な武装ではなかった。
材質も、形状も、物性も。どれひとつとして
けれど、彼には、何の問題もない。
到達した
重要なのは、ただ一つ。剣という
それさえ満たせば、自動的に、――あの日を、あの刹那を、子どもの命を奪った最悪の
何度でも、何度でも、何度だってッ!!
消えず、離れず、へばりついている。
あの日、記録された“
凡人たる彼が、無明によって辿り着いた極地。おさない
どうか、安らかに。安らかに、――
安らかに安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに。安らかに安らかに安らかに安らかに
これこそ祈り。
全身/全霊の願いなればこそ
その身には、
だから、人間と怪物の交雑から生まれたこの
この結果は、予定されたもの。長い旅路。かれが意志し、延々と積み重ねた営為から導かれる予測可能な
けれど、
もし仮に、
無価値な
たとえば、――かつての、どこか。
とある口伝に曰く、呪われた地。帰らずの山。口減らしの廃棄孔にして、――人喰いの悪神住まう氷結の獄。
ただ一人、挑んだ。
相対したのは、理解を隔絶した現象にして生命。
苦難の旅路、そんな物語もあったのだ。
だから、この
ゆえに、ここに
なればこそ、激甚の毒性となって、神話の攻勢を押し止める。
不実であり、不義だった。
矛盾であり、背反だった。
けして、
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