第100話 弱者の抵抗/限られた選択(10)
天を覆うもの。空に蓋した大樹が一。幹に四肢のない咎人が
頭部および胴体各所にて、様々な形をした
ちょっとした大工道具といった風情だが、もちろん
欠落していく
たった一つだけで彼の生命の意義は、事足りる。だから、それだけの形に変えられていく。
これは、はじめから予定されたこと。
裁くべき罪こそは、仕える
彼女には、絶えず
苦痛に際限はなく、終点もない。過剰投与に器が壊れる
きっと、王国すべての
だから、この無益な連鎖を留めるために必要なのは、罪人だ。
この摂理における罪の定義は、案外とゆるい。
他なる
実際、この災厄は、その論拠を基にして、
しかし、それはそれとして、――やはり罪は、重いほど腹持ちが良い。悪は、醜いほど安らぎを与えてくれる。
これなくして、彼女を
たとえ、
罰の凄惨を。刑の残忍を。自らも嫌悪した
眼を閉ざすわけには、いかなかった。この後、かの
森の
けれど、……他にも、考えることは、あった。
この救い難い
“諦められなかった”
“なんとかして貴女を振り向かせないと”
“なにをしても無視された”
“可能性があるのなら、すべて試してからでないと”
旦那様。誰もが確信する悪い人。
みんなが嫌う人/わたしも嫌う人。
あなたは、
この災厄を? なぜ、どうして?
“恩人の亡骸をあんな形で晒すのは、すごく抵抗があった”
それは、
事実は、ただ異常性の中で浮遊する。
どうせ考えるなんて、無駄なこと。
誰にも理解できないし/理解されたいなんて思っていない。
それでもなお。
あまりに愚かな選択だ。
少女の間違いであり、――少女の間違いを想定できなかった
けれど、普通、想像できないだろう。呼び方ひとつで、こんな
取り返しのつかない
棄てられた
求めるは、
資格ある者には、
凡庸が、すべてを懸けて覆い隠したはずなのに、――ふと蕾を開くような易しさで
世界の
死の床における
少女の母が、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます