第47話 ふんどし
さて、俺たちはこの地下十階のどこかにいるはずの、ローラさんを探さなければならない。
マッピングしながら進んでいく。
まず、アニエスさんが先頭を歩き、次に
ゲームとかだと戦士系の職業は前に固まり勝ちだけど、実際の戦闘となるとバックアタックにも備えなければならないのでこの隊列になる。
俺は後方を警戒しながら、前を行く女の子たちについていく。
見えるのはアニエスさんの金髪と
っていうか、みっしーはシャツに下半身は風呂敷をスカートみたいに巻いているだけ、アニエスさんにいたっては風呂敷を胸に巻き、下半身には風呂敷をふんどしみたいに装着している。
スカートみたいに巻くと、動きづらいからだそうだ。
直接戦闘するニンジャだからな、風呂敷を巻いただけだとタイトスカートみたいになって動きが阻害されるから、そりゃこうするよな、とは思うのだが。
まあなにせ、ふんどしスタイルだ。
あれだ、お祭りのときにお神輿かつぐ人がつけている、あのふんどし、あんな感じ。お尻丸出し。
真っ白な肌の、完璧に綺麗な形のお尻。
ゲルマン系の人って、日本人よりお尻の位置が高いよなー。
それがほんの数メートル先で、歩くたびにプリン、プリン、と揺れているわけで。
アニエスさんは小柄な女の子だけど、顔も小さくて頭身それなりにあるし、足もすらりと長くて腰もほっそい。
この身長の女の子としてはベストなくらいのプロポーションの良さ。
俺だって二十二歳の男なわけでさー。
じゃあ聞くけど、この状態でお尻に目がいかない男なんてこの世に存在する?
次から次へと襲ってくる命の危機、ギリギリの戦闘。
そんな中、遺伝子を残そうという本能が煩悩を強めてしまうのはしかたのないことだと思うのです。
そんなわけでついついアニエスさんのプリプリなお尻に目がいってしまうのでした。
うーん、心臓がドキドキしちゃうな……。
と。
みっしーが突然、立ち止まって振り向いた。
あ、やべ、慌ててアニエスさんのお尻から視線をそらす。
「……基樹さん、ちゃんと後ろ見張っててくれてるよね?」
「あ、ああ、もちろんだ」
「……ふーん……。ふーん。へー。まー、いいけどねー」
ジト目で俺を見て、そのあとちらっとアニエスさんのお尻に目をやって、またジト目で俺を見るみっしー。
うう、これお尻見てるのばれて責められてるんだよな、みっしーはやっぱりエッチな男が嫌いなのかもしれない。
俺、嫌われちゃったかな?
「どうした? なにかあったか?」
そう聞くアニエスさんに、
「いやなんでも。大丈夫だよ、先に進んで」
と答えるみっしー。
そして俺たちはまた歩き始める。
うん、いかんいかん、俺はちゃんと後方警戒しないとな。
みっしーはまだ高校生だし、きっと男のエッチさとか嫌いなんだ、俺も大人の男としてだらしないところは見せられないぞ。
ん?
みっしー、なんか歩きながらスカート状に巻いた風呂敷をちょっとたくし上げて……腰のところできゅっと結びなおしている。
おいおい、そんなことしたらけっこうぎりぎりのところまで太ももが見えちゃっておいおい……。
あ、あ、それ以上あげたらおしりの尻たぶまでみえちゃう、あかんあかん。
駄目だぞ、みっしー、それは破廉恥だぞ。
すげー、女の子の太ももってなんでこんなに魅力的なんだ、心が奪われる……。
思わず視線がそこに吸い取られて、その瞬間、横目でみっしーが俺をちらっと見る。
俺はまたも慌てて目をそらす。
ばれたかな、ばれたな。
みっしーはちょっと耳を赤くして満足げな笑みを浮かべた。
あれだな、きっとアニエスさんの大人の魅力に憧れてあいうことやってるんだな、みっしーは子供だなあ。
〈ケツ〉
〈尻〉
〈太もも〉
〈みっしーの太もも〉
〈みっしー、下尻見えてる〉
〈いい……〉
〈みっしー、嘘だよな……〉
〈これ絶対みっしーわざとだよな〉
〈でもお兄ちゃんみっしーがわざと見せてるの気づいてないし〉
〈みっしーガチ恋勢ワイ、動揺中〉
〈尻で対抗〉
〈うー私のお兄ちゃんがみっしーにとられちゃう〉
〈俺は顎が気になってそれどころではない〉
〈みっしーのためにここまで命かけてるんだからまあお兄ちゃんならと思わなくもない〉
〈わかるけど、俺は許さんぞ〉
〈年齢が違いすぎね?〉
〈みっしー誕生日が近いからなー。すぐに十七歳になるぞ。そんな年齢差があるわけでもない〉
〈アニエスのお尻、まん丸ですごくいい〉
〈でも私はやっぱり耳がいい。お兄ちゃんの耳も悪くない〉
〈草〉
〈なんなら私はお兄ちゃんのお尻が見たい〉
〈まじで草〉
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