クロワッサンの三日月と、朽ちゆく寒椿──夢月みつき様の情景の魅力
- ★★★ Excellent!!!
夢月みつき様の短歌集は、どの一首にも、物語の奥深さと作者さまの繊細な感性がにじんでいて、ページをめくるたびに胸の奥がきゅっとなりました。個人的には第73歌の「三日月がクロワッサンみたいねと」という一節に、ふっと微笑んでしまって…ああ、こういう柔らかい想像力って宝物だなと。
対して第82歌「寒椿」のような艶やかで哀しい情念にも惹かれてしまいます。輪廻をテーマにしたシリーズは特に深みがあって、まるで幾重もの夢をのぞき込むような読後感でした。どの世界も、その短歌一首にぎゅっと魂が宿っていて、まるで扉の鍵を渡されたような気持ちになりました。