『ハート・オブ・シティ』 下の14

 一瞬の隙があった。


 らんぼう刑事は、回りの男を振り払って、天井のまだ灯っているライトに向けて、2発発砲した。


 『ばちばち!』


 と、放電が起こればアニメみたいだが、まあ、そうはならない。ただし、さらに辺りは暗くなった。


 しかし、銃声がその場の人々のメンタルを、かなり揺さぶったからなのだろうか、無線通信が回復した。


 『こらー! 返事しろー。』


 という、あねがさばあの声が響いた。


 赤血警部補は、自分を抱えていた男たちをぶん殴った。警部補は、強いのである。


 この際、いたしかたない。


 らんぼう刑事も、ちょっと過激だが、拳銃で周囲をぶん殴り、さらに威嚇した。


 それから、赤血警部補も、ゆっくりと、懐から拳銃を取り出し、件の男に狙いを合わせた。


 『はいよ。』


 赤血警部補が応答した。


 『こちらあねがさ。やっと通じた。そこに、ばかな男がつっ立ってるだろ。どぞ。』


 『たしかに。』


 『そいつは、あたしの弟だ。どぞ。』

 

 『はあ。なるほど。納得した。』


 『ぶっ。』


 『で、どうする? どぞ。』


 『ぶっ殺してやりなさい。どぞ。』


 『いや、そうはゆかない。逮捕する。』


 『他に手はないよ。そいつは、地下の岩盤と、つるんでいる。一時的にコネクションが乱れたが、すぐに回復するよ。どぞ。』


 『足とかぶち抜いてもだめか?』


 『むしろ、手だ。それが、アンテナになっている。どぞ。』


 『そうか、では。』


 赤血警部補は、射撃の名手であった。


 しかし、手は頭のすぐ横にある。


 ばーん。ばーん。


 赤血警部補は、男の足を撃った。



        🔫


 


 

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