『ハート・オブ・シティ』 下の12
ふたりは、市役所の地下を通り抜けていた。
大体、機械室とか、資料室とかが並んでいるようだが、ほとんどは施錠されている。
警部補は、中までは知らないが、様子はだいたい知っていた。
『エレベーターがあるんだ。そいつは、各階の外側のフロアを貫いていて、市役所内のどこにでも行ける。ただし、市長室は、秘書課を抜けないと到達できないが。』
『市の幹部たちはどこにいるんでしょう?』
『さあな。議会の開催中だから、大方は議場だろうな。ただし、外れている幹部が必ずいるはずだ。ま、もっとも、いまの場合、幹部は役に立たないかもな。とにかく、誰が中心なのか、仕掛人なのかを知りたいが、情報無いか?』
『まったく、外部と連絡ができません。』
『ふうん。当たって砕けろ、か。じゃ、ま、階段を行くかな。自分で歩くほうが、なにかと対処しやすい。運動にもなるしな。』
『運動は、良くしてますよ。』
『映画みたいには行かないからな。』
『あい。エレベーターの天井にへばりついたりできないす。』
ふたりは、誰もいない階段を、一階に上がった。
遮るものは、ない。
🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌
一階についたが、踊り場は、まったく無防備である。
しかし、にも拘らず、誰も降りてこない。
『おかしいよな。誰も降りてこないのは。』
『監禁状態すかね。』
『うんだな。開けるぜ。』
警部補は、階段から、フロアーに入るドアを開いた。
らんぼう刑事は、拳銃の準備をした。
すると、そこには、薄暗い修道士風な姿の人物が待っていたのである。
『いらっしゃいませ。警部補どの。らんぼう刑事どの。』
『あなたは?』
『わたしは、あなたが、仕掛人と呼んだものの部下です。ジロー、と、お呼びください。どうぞ。』
『ここは、公共施設だからね。あなたに、案内される謂れはないが。』
『いまは、我々が、占領していますから、あるのです。』
『ほう? ま、行こうか。』
『このひと、なんだか、見覚えがある。』
警部補が、らんぼう刑事にささやいた。
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