『ハート・オブ・シティ』 下の10


 あねがさばあには、びんびんと来ていた。


 『あやしい。あやしすぎる。あの地下通路は、ただ者ではないな。ぐんぐん、加熱されている。そのエネルギーの出所は、やはり、岩盤だろうな。おーい。こちらあねがさ。どぞ〰️〰️』


 彼女は警部補に呼びかけたが、しかし、まったく返事が来ない。


 届かないのではなくて、なんらかの強烈な妨害電波が出されているようだ。


 というのも、どうやら、なにかを受信しているからである。


 尋常ではないと思われた。


 『まずいな。弟は、明らかに何かに憑かれているぞ。あそこに踏み込んだら、さすがに、鈍い警部補さんも、危ないなあ。まあ、あまりに鈍いから、むしろ、袋叩きになるとか、かも、らんぼう刑事も、似たり寄ったりだし、とにかくも、元凶が岩盤さんなのか、他の何かなのかを、まずは突き止めなくてはならない。』



       👯


 『警部補どの、無線機、だめす。妨害されてます。』


 『だれに?』


 『そりゃ、わかりません。』


 『本部に電話しろ。』


 『あい。……………だめです。こちらも、通信できない。さっきまで、出来てたのになあ。』


 『ふうん。まあ、つまり、我々を歓迎してるって訳だ。ほら、みろ、開いたぜ。』


 『あらあ………』


 そうだ。


 入り口と同様に、そのドアは、するすると、開いたのだ。


 そうして、声が聞こえてきた。


 『いらっしゃいませ。赤血警部補どの、らんぼう刑事どの。さあさあ、奥にお進みください。』


 『あんた、だれだ?』


 『あとで、ご挨拶申し上げます。まずは、中に。』


 ふたりは、再び、歩き始めた。



        🚶🚶.......



 


 

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