『ハート・オブ・シティ』 下の9


 『あついですね、警部補。異常に。』


 『たしかに、そうだな。地下道は、ふつう、暑いか?』


 『いやあ、地下の方が涼しいかと。』


 『そうだよな。暖房してるかな?』


 『はあ? まさか、今時に、市役所がそんな無駄しないでしょう。』


 『ふん。じゃ、だれが、暖房してるのかいな? それとも、冷やしちゃまずいものがあるかな?』


 『暖めなきゃダメなものですかあ? さて。たまごとか。』


 『そうだな。それは、ありかな。』


 『あと、ふところとか。』


 『そりゃ、無理にやると、警察のやっかいになる。』


 『ははは。まあね。』


 『ふうん。どうも。この地下道は気に入らないな。』


 『そうですか?』


 『だろ。なんで、こんなものが要るんだ? 前から不思議だったのだ。核シェルターにしては、浅すぎるし、ちゃちだ。』


 『だから、防災では?』


 『まあ、そうなんだが。なんで、地下道なんだ? 変だろ?』


 『まあ、そうですがねえ。』


 『まあ、悪いあたまで考えても、なにも出ないがな。おっと。もう行き止まりにきた。着いたかな。きみ倉庫とか、見たか?』


 『ロッカーは、ありましたね。』


 『うん。あれには、確かに防災用具が入ってた。確かめたよ。前に。』


 『なんだ。』


 『しかし、今日来てみて、やはり、へんだなあ。なんか、怪しい。』


 『はあ。しかし、これ、開けますよね。』


 目の前には、また、大きな扉があった。



         🚪🚪


 


  

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