『ハート・オブ・シティ』 中の13号


 『でもね。それって、つまり、市民も撃ち抜くってこと?』


 あねがさばあは、警部補に確認した。


 『おいらに、訊くな。』


 らんぼう刑事が代わりに答えた。


 『まあ、いざというときだけでしょう。』


 『いざ? いざって、なに?』


 『幹部は、常に最悪に備えるものです。それに、攻撃の場所は、選ぶと思います。』


 『最悪だけに? この、密集地で? まさか、もしかして、ここ? ここは、やめた方がいいよ。古い木や岩がある。ここは、岩盤を押さえてくれるてる蓋かもしれない。あたしは、逃げるけど。新城山に移動するわ。あそこには、県庁の支所があるから、たぶん、安全かも。ちょっと見通し悪くなるけど。』


 『わかった。くそ、らんぼう、本署につながるか?』


 『たぶん。でも、長くは無理ですよ。まって。やります。………あ、赤血警部補どのが出ます。はい、どうぞ。』


 『おう。もし。赤血だよ。いいか、おいらが市役所に潜入するから、はでな攻撃するな。古代の丘は攻撃するな。新城山は、避難場所にしろ。いいな。警視にいえ。はあ? ばか、市民犠牲にしてなんの警察だ。防衛隊のやつら、何やるかわからん。押さえろ。警視どのの、力量いかんだと、いえ!』


 『なんだって?』


 と、あねがさばあは尋ねた。


 『きさまに、なにができるか。だと。……いいか、おいらは、自由に動けるんだ。有力な情報も掴んだ。そうだ、時間くれ。………わかった。』


 『なんだって?』


 『2時間だけまつ。だめなら、防衛隊が、脇から一発いれる、だと。』


 『脇から? 何が起きるか解らないよ。未知の存在だから。まして、相手には、意思がある。攻撃されたら、未知の反撃するかも。』


 『2時間だ。あそこの、『市民花柄ホール』の地下には、市役所につながるルートがあるんだ。かぎは、ぶち壊す。らんぼう、来い。きみは、ここから、情報くれ。あ、らんぼうくん、無線機持ってたよな。』


 『あ、はい。しかし、地下からだと……、出力は、あまり強くないですがね。』


 『根性でつなげる。』


 すると、あねがさばあは、言った。


 『そういうものではないと思いますが。まあ、がんばってね。あたしは、逃げる。ここは、ほんと、危ない。え? なんだ?………』


 『はあ? なんだ?』


 『杉の木さんが、逃げるな、と、言っている。逃げるなら、協力しない。と。踏みとどまるなら、力になると。』



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