『ハート・オブ・シティ』 中の12号


 『まだ、続きがあるよ。』


 あねがさばあは言った。


 『この、樹齢1560年の杉の木さんが言うには、今から2500年前に、宇宙から人がきた。自分のじいさんが会ったと。その宇宙人によると、ここの地下にあるでかい岩は、いまから、二億年、ほど前に、カレーラ・イス星人という巨大宇宙生物がやってきて、ここにきた記念として、埋めたのだと、そうして、回りは地球の岩石だが、中身には、知的高出力反物質爆弾が嵌まっている。それがなにかは、知らないが、環境が一定数悪化すると、自爆する。ただし、そのためには、この惑星の知的生命体4000体が、人柱として起爆剤になる必要がある。………だそうです。爆発すると、この星は消滅する。花火のようにきらきらと輝きながら。』


 『なんだ、話が、無茶苦茶になっているではないか。そんなの、たわごとだ。』


 『いいよ。べつに、あたしが言うのではない。杉の巨木さんの思い出話だから。』


 あねがさばあは、あっさりと答えた。


 『よしや、そいつが本当だとして、なら、どうしろってんだ。え?』


 『訊いてみます。』


 あねがさばあは、また、杉の巨木に話しかけていた。


 しかし、なかなか、反応が得られないらしい。


 『なんだか、圧力がかかってるらしいねえ。』


 『圧力とな?』


 『そう、圧力。つまり、だれかが、それ以上は、しゃべるなと、言ってるみたい。』


 『だれがだあ?』


 『岩盤さん。』


 『なにい? 岩盤の分際で、おいらに、逆らうってか。』


 『うん。そうだね。』


 『ちぇっ。』


 警部補は、ベンチに座り込んだ。


 市役所には、ますます、人や生き物たちが、大集合してきている。


 『ものすごい、パワーが出てる。ますます、周囲に影響している。』


 付近の道路を走っていた自動車が、みな停車し、乗っていた人たちが、ぎゅるぎゅると、市役所に吸い寄せられていた。


 『市長たちは、どうなってる。』


 『さて。それは、警察のお仕事。』


 一方で、らんぼう刑事が、連絡をとりまくっている。


 『電話は通じてますが、大地震の時みたいに混乱していて、あまり通信状態は良くない。衛星電話によると、市長たちは、議場に籠ってるようですが、元気。しかし、脱出は不可能。特殊攻撃隊がきてます。また、中央からも、防衛隊の応援がきます。ほら、あれ!』


 みたことないような、でっかいヘリが上空に来ていた。


 『まさか、あれは、ヒーク・プレイではないか。あの、輝く立体無限大二重マーク。噂さ話の通りだな。最新鋭秘密攻撃型へり。そうした裏の噂はあったが、まさか、ほんとに実在したとはな。』


 たしかに、立体的に浮き上がる無限大マークが、二重になって、くるくると回る。


 『どんな、技があるの?』


 『超小型高出力レールガンを積んでるらしい。でかい岩盤も一発で撃ち抜くという。』


 『ほう………』


 あねがさばあは、暗くなった上空を見つめた。


 


 


 


 


 


 

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