『ハート・オブ・シティ』 中の2号


 『まんだら亭』の『まんだら定食』は、人気メニューであった。


 らーめんは、あっさり薄味。


 しこしこした、ちょっと黄色の細麺。


 野菜サラダがたっぷり付いてくる。


 ごはんは、いわゆる、かやくごはんである。


 刑事には相応しい。


 しかし、昨今の値上がりは、ここもしっかり直撃していて、最近、元値から、200ドリム高くなっていた。


 『まったく、偉いさんたちは、なにやってるんだか。』


 警部補は、ぼやいた。


 『そのぶん、稼げば良いわけ。』


 『われら、宮仕えには、できない。』


 『あら、今回の事件を解決したらいい。』


 『すぐには、上がらない。』


 『なら、あたくしの、助手になりなさい。今の50%アップにしましょう。』


 『絶対に断る。』



        🍥 🍥 🍥



 そんな、ばかばなしをしていたら、らーめんがやってきた。


 『で、なにを、アドバイスしてくれる?』


 『アドバイス料金、手付金、5000ドリム。』


 あねがさばあは、しっかりと、手を伸ばした。


 

 『けっ! 捨てるみたいだ。』


 『あらあ。悲しい。あたくしのは、確かですよ。なん度も助けたでしょう。』


 『まあ、たまたまたな。』


 『良くいうわ、今も、助けを求めてきたんでしょ。』


 『情報は、多い方が良い。きみのは、幽霊にインタビューしたようなもんだし。』


 『違います。幽霊は、実在が証明されない。あたくしの情報源は、みな、実在しています。花も木も山も、川も海も。壁も天井も、ガードレールも、雲も、みな実在の存在です。』


 『ガードレールが、ものをいうわけだ。』


 『まさに、そうです。』


 『はいはい。じゃ、5000ドリム。』


 『まいど。さっそく、かえりに、始めましょう。ついてくる?』


 『やだ。かってにやれ。』


 『冷たいのね。』


 『こけんに関わる。』


 『離婚したから?』


 『いや、刑事のこけんだ。』



 それから、ふたりは、らーめんに専念しだした。


        🍜🍥

 


 

 

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