第21話思惑

さて葉山は、どこにいるかな。


全く用がない時に限って見つからない。と俺は思った。


あーいたいた。と彼女を見つけた俺は、声を張り上げ呼んだ。

おーい葉山。


彼女は校庭のベンチに1人座っていた。何故そ

こに?


俺は不思議に思ったが、何やら考え込んでいたので、1人になりたい時もあるかと、勝手に納得した。



何先生なにか用? チラッと俺の方を向いて心ここに在らずといった感じで言われた。


彼女の態度は、あまり歓迎されていないように感じた。


表情からも、少し面倒くさい相手をしなきゃと、伝えている様だった。


全くこの態度、鬼塚みたいだ。



だが、突然何か言いたそうな様子に、変わった気がした。

この変化は年頃の女子には、よくある事だ。急に態度が変わる。



もしかしてイジメの件かしら? もしそうなら洗いざらいぶちまけてやるわ。

と私は喉元でその言葉を飲み込み、先生の次の言葉を待った。



葉山、この前ドローンのことで興味があるって言ってたよな。

あれは、嘘じゃないよな? と願いながら言った。


なんだそっち。葉山は、がっかりした様子だ。少し手を額に当て、俯いた。


なんだ?

別の用だと思った様な言い草だな。

俺は不思議に感じた。


何か、隠してるのではないかと、疑わせる態度だ。


そりゃあなたは知らないんだもの。良いご身分ね。と葉山は思った。


大事な生徒が苦しんでるのに、何も気づかないなんて。先生失格よ。と私は、心の中でいった。


でも先生に伝えない私も、先生の仲間ね。

そうね。言わなきゃ伝わらないわよね。



なんだ?

どうした。俺はなんかドローンを教える、裏を読まれてるのかなと思った。


なんなんだ。言いたい事があるなら、はっきりしてくれと、心で呟いた。


今度教えます。でもやっぱり瑠璃さんに聞いて下さい。


うん?

変なやつ。俺は心で思った。


先生ドローンに興味ありますよ。教えてくれるんですか?


良しきた。葉山素晴らしい返事だ。


もちろん教えるよ。俺は、葉山から、月宮を突き放す作戦が見事に成功したと思った。


ドローン中なら、月宮といっぱい話せるからだ。


それほど月宮と話したいのか、と誰かに言われそうだ。しかし、それが恋心という、厄介な代物だ。


中学生に恋しているなんて誰にも恥ずかしくて言えないが。


ああそれと葉山。ドローンに関する資料近い日に持って来るから。


分かりました。よろしくお願いします。と葉山は感謝を述べた。


何か相談があればいつでも言ってくれ。やはり葉山の表情が気になり、それを思い出し言った。



葉山はほんの一瞬目を見開き、もちろんその時はお願いしますと、頭を下げた。


先生、校内に戻りますね。それではまた。


そうだなまた明日。気づくと他の生徒も、校庭に集まって来ていた。静かなところに行きたいのかなと? ふっと考えに至った。


ドローン楽しみにしてます。と葉山は最後に笑顔で言った。


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