第12話演劇部

そうだ先生、私演劇部に見学に行っても良い?


良いぞ。神宮寺なら大歓迎だ。けど本当に入りたいのか?

正直な話し俺に気を使ってそう言っているのがありありと俺には感じた。


ちょっと興味あるだけ。

神宮寺は上目遣いでそう言った。


おいおいそろそろ離れないと人目もあるし。

神宮寺は俺に抱きついたままだった。


あっ、先生ごめん。神宮寺は慌てて離れた。

先生に迷惑かかっちゃうもんね。変な噂流されたりしたら大変だ。


神宮寺はそう思いすぐに離れた。


でもちょっと手を繋ぎたい気持ちも出てきた。けど生徒と先生だからそれは出来ないんだよなぁ。残念と心の中で呟いた。



先生この後演劇部に見学行っても良い?


それはいいね、じゃあもう始まる時間だし、

行ってみるか。


2人は演劇部に早速向かった。


歩きながら、談笑していた。広い校庭を出てから程なくしてついた。

部室のドアを開けるとそこには熱心にリハーサルをしている部員の姿があった。


うわー凄い。これが演劇部なんだ。

神宮寺は感動した様子だ。


神宮寺は、拍手をして皆の演技に心から揺さぶられた様だ。目を輝かせて熱心に見つめている。


先生、神宮寺はスマホを取り出すと、ねぇちょっと撮ってもいい?俺の方を向き微笑みながら聞いた。


俺に許可を貰い、

俺は、そう言うのは部長とかに聞いてな。とアドバイスした。


許可を得て、神宮寺は、部員達の演技している姿をスマホのスクリーンに綺麗な指で動かし、熱心に撮った。


まてー盗賊達が美女を追いかけていた。


きゃー助けてそう叫んだのは鬼塚の声だ。


そこまでだ。ここでヒーローが登場だ。


皆リハーサルとは言え真剣にやっている。舞台の上での行動がとても疾風の如く機敏な動きだ。



リハーサルを終えると、俺は神宮寺を紹介した。神宮寺に演劇部を見学してもらってる。


よろしくな。と俺は皆に言った。


神宮寺です。こんにちは。見学させてもらってます。神宮寺が、笑顔で挨拶した。


部員達も挨拶を返す。男子部員は鼻の下を伸ばしている。


神宮寺さん俺の演技見てくれた?男子の1人が笑顔で言った。


はい。もちろんです。雰囲気とか声とか最高でした。


褒めすぎだよー。ありがとう。是非神宮寺さんには、入って欲しいな。


そしたら、テンション上がる上がる。



神宮寺が入ったら、男子は皆、神宮寺の虜になるな。ここに月宮も入れたら、凄いぞ。


俺は神宮寺と月宮が入った事を想像すると、興奮してきた。


とは言え演技の才能が2人に有るかは、分からない。


期待し過ぎも良くないな。まぁ入ってもいないんだからな。


しかし、鬼塚はあまり歓迎していようだ。


それどころか、ものすごい嫌そうである。自分より目立つ者は拒むと言った表情だ。



あからさまだな。あいつは。半ば呆れる様に心の中で呟いた。


それとも石黒が裏から手を回して、鬼塚に有る事無い事言ったのか?


その考えはなかったな。この予想が外れていたらいいが。もしそうなら少し早すぎる。


神宮寺は嫌な思いしてないだろうかと、彼女を見たがそれには気がつかなかったようだ。


内心ほっとした。


鬼塚に注意するべきか?

なんだその態度はと。しかしここが非常に難しい問題だ。

注意されて逆恨みで、有る事無い事言いふらす可能性がある。


そう考えていると、お疲れーと声がした。

演劇部の子が飲み物を持ってきてくれた。


それで雰囲気が団欒とした感じになった。


私手ぶらで来ちゃた。今度お菓子とか持って来ます。そう神宮寺が言った。


あーいいよいいよ、気にしなくて。神宮寺さんの笑顔でお腹いっぱい。と演劇部の男子が言った。


臭い台詞と女子が言った。


そしてみんなが笑った。俺は笑いながら少し泣いた。教師やってて良かったと思える。


先生やだ、泣いてる? 肘で軽く神宮寺に突かれた。

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