第11話恫喝

ここは、可愛い生徒のため石黒に、何か言ってやらねばと、思うのだが。奴が人の話をまともに聞く生徒なら苦労はない。


何かあれば先生に言うんだ。出来る事ならやってやる。


ありがとう先生。大好き。


神宮寺にそう言って、甘えてこられてちょっと困ってしまった。


うぅやはり可愛い。


流石俺のはとこだ。それに俺も可愛い顔をしていると思う。


おいあんまりくっつくなよ。そう俺が言うと、神宮寺は、へへっと、笑顔でこう言った。


だって先生しか頼れる人いないんだよ。

男子は頼りないし。


確かに石黒に何か言える男子は、いないな。



アイツから私を守ってね。神宮寺が俺にウインクしてまたねと言った。


しかし、石黒はどうやら神宮寺を待ち伏せしていた様だ。


神宮寺が一瞬嫌そうな顔をした。


よう、偶然。石黒はさもたまたまあったかの様に言った。


なにかよう?


そう、邪険にするなよ。なぁ神宮寺俺とさ付き合おうぜ。石黒が告白する


その前にあんた、鬼塚さんと付き合ってんじゃん。そう言うの失礼だと思うんだけど。

神宮寺が当然の事を言う。


ああ美月とは別れるよ。だからさ俺と付き合うぜ。


あんたと付き合うなんて絶対無理だから。

死んでも無理。


神宮寺はキッパリと断ったが、言い過ぎてしまったかと後悔した。


それは石黒の顔がみるみるうちに、鬼の形相になったからだ。


おい調子にのるなよ?

なんだその言い方はよう?

死んでも無理だと?


ふざけるなよおい!その声に廊下にいた周りの生徒たちが驚く。


誰が言っているのだろうと、疑問に思った数人の生徒が石黒の顔を見ると、納得した様になんだ〜と安堵した。


その理由は、他の生徒ならば、何事かと驚く事だが、石黒ならば日常的な事だからだ。


それを聞いて、流石に俺は飛び出した。女に手を出さないだろうが、精神的に追い込む事はやりかねない。


なんだどうした?

神宮寺と石黒の中に割って入った。


ちぃなんでもねぇよ先生。

神宮寺覚えてろよ。神宮寺を一瞬睨んで石黒はその場から立ち去った。


神宮寺はあまりの恐怖に泣き出した。気を張っていたのが石黒が去っていた事により溶けたのだろう。


先生怖かった。神宮寺はそう言うと俺に抱きつきしばらく泣いていた。俺の胸に顔を伏せて恐怖に震えていた。


そうかそうか。怖かったな。大丈夫。俺は神宮寺を慰めた。


神宮寺は少し安心した様に、泣いてる声が低くなってきた。

落ち着いたのだろう。


その時、葉山美雨と目が合った。


やばい、葉山に見られた。月宮と一緒じゃなかったのか?


月宮にこの事告げ口しないといいが。


そう思ったのは、月宮に神宮寺と、付き合っているのではと、あらぬ疑いをかけられる事を恐れたからだ。


先生どうしたの?神宮寺が心配そうに聞いてきた。


ああなんでもない。気にしなくていい。格好つけて言った。


そっか、じゃあせっかくだから、先生と色々話したいな。と落ち着いてきたのだろう。笑顔で彼女は言った。



ねぇ先生私の話聞いて。この前小学生の頃の友達と話をしてたんだけど、その友達が上履きが無くなってたんですって。


なんでだろうって話をしてて、誰か履き間違えたのかな?それとも、誰か盗んだのかな?


そう思ってまずは先生に相談したんだって。


そしたら、先生それは大変だね。だって。


え?それだけってなるじゃん?


一緒に探すなり、何かしてくれても良くない?


学校は、犯人探しとか警察じゃないから、しない方針って事なんだけど。


誰か履き間違えたりじゃなかったの?と俺は言った。


だが本心は多分いじめで失くされたのだろうと考えていた。


履き間違えか、いじめこれが最も可能性が高いと思われる。


結局見つかったんだけど、それが校庭に捨てられてた。


なるほどな。


誰かが故意にしたなら、入り口にもし、その学校に有ればだが、監視カメラを見ればすぐに分かるだろう。


ねーでも友達は、それは良いんだって。


先生にその時冷たい対応されたのが、ショックだったみたい。


鎌田先生なら絶対ちゃんとした対応するよね?


まぁな。と頷いた。


俺だったらか。すまん生徒によると言う言葉は飲み込んだ。


何故かといえば、生徒にその対応が悪ければ、その生徒の心を傷つけてしまうんだなと改めて自戒したからだった。

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