第10話教師
ねぇアイツもういなくなった?
教室の開いたドアから顔を出して、こう聞いて来たのは俺のはとこの、神宮寺友美だ。
神宮寺は、俺にとってもっとも信用のできる生徒だ。やはり血のつながりってやつか?
少なくとも俺にとって特別な生徒だ。
もちろん月宮も特別な生徒。
石黒か? 行ったよ。そう俺が言うと安堵した様に見える。
私アイツ嫌いでさ。
本当に嫌そうだ。彼女は誰とでも分け隔てなく接していけるタイプだ。しかしそういう影のある部分もあるんだな。
まぁ相手が石黒だから彼女が悪い訳ではないが。とは言え理由を書かないとな。
もしかして石黒に言い寄られているのか?
そう俺は考え彼女に尋ねた。
確かに神宮寺は月宮に匹敵するほどの可愛らしさを持っている。この学校美少女が多いのではないか?
と思うぐらいだ。
でも、そんな事を考えるのは先生として許されない事だ。
見た目について考える自分を戒めなければ。だが石黒がその見た目に惚れて言い寄ってると思ったからだ。
他の教師が変にそう思う考えとは違うのだ。
ましてや一部の教師が話題になる様な不適切な関係…それは絶対に許されないことだ。
そう言う教師は、罪の意識が低いのだろうか?
ただ首になるだけで、刑務所に入らずに済むなんて。
俺は月宮への想いを棚に上げて、未成年に手を出す教師にたいする嫌悪感を抱いた。
それはかなりの矛盾でもあり、苦悩するものがある。
と言うかこの学校だけじゃなく今は女子の可愛さが上がっているよな。
みんな努力しているんだろう。
神宮寺は、
男子から非常に人気が高い。
神宮寺、俺と頼む付き合ってくれ。と男子生徒が懇願する様に言っていた。
私そう言うのはちょっと、今は考えられないんだ。ごめんね。と断る神宮寺。
こういった場面を見たり、連絡先交換しようとよく見かける。
彼女は、誰とも分け隔てなくコミュニケーションを取れる。
だがそれとは裏腹に、特別に親しい友達はいない様だ。
程よく仲が良い。それは余り自分の事を話さないからだろう。
心から許せる友達を作ってやりたいが、それは本人次第なところだ。
だが石黒に関しては
よく分かる俺も嫌いだ奴は。むしろ好きな奴を探す方が難しい。
そうだな。アイツにはなるべく近寄らないほうがいい。そういうと神宮寺は何度も頷いた。
近づきたくないよ。けど向こうからなんか、言い寄られて、困ってるんだよ鎌田先生。
だけど鎌田先生仕事、大変なのにこんな事相談してごめんなさい。
なるほど男に言い寄られたくないから、ある程度の距離間を上手くとっているのだろうなと感じた。
それはモテる女子の困った悩みだろう。と言った
女の友達ともそれが原因で揉めると大変だろう。続けて言った。
もう、そりゃモテるの自覚してますけど、
女子が困ってるんですよ?
女友達の好きな男子がその事で神宮寺と揉めるイメージが思い浮かぶ。
何故ならもう既に鬼塚の彼氏、石黒が神宮寺に言い寄っているからな。
そりゃ分かるまぁ、女子校なら神宮寺は上手くやっていけるかもな。と言った。
思えば月宮もそうなのだろうなと、彼女2人に同情してしまった。
とは言っても積極的な男子は減って来ているってニュースでやってたぞ。
それだけ君は人気あるんだ。人気あり過ぎても…困るか。言葉を詰まらせながら言った。
減ってるのは本当だろうか?
理想が上がっているだけじゃないのか。彼女達の様に一部に人気が集中する様な。
それとも二極化ってやつか?
積極的か消極的か。いきなり告白するのが増えた。
俺もそのタイプだったと、恥ずかしくなった。
まずは徐々に仲良くなっていくのを、通り過ぎていきなり告白。女子は困惑するらしい。
だが成功する確率は減るが、しなければゼロだ。
そうだ石黒と神宮寺の問題で、考えが逸れたな。
今はそっちの事を考えなくては。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます