第6話指摘

気持ち悪りいいんだよ先生。こう悪態をついてきたのは、さっき言っていたキツイ顔の生徒だ。


しかしキツイ顔をしているが、顔は整っており、かなりの美形だ。


とは言え月宮には数段劣るが。 


生徒の顔を比べるなんて、自分はなんて失礼なんだろうと後悔した。


なんだよ?

と俺は聞いた。


ちなみにこいつは鬼塚美月。


俺はあまりこの生徒の名前を呼びたく無い。


それは他の生徒に悪影響が出るからだ。


決して俺がこいつを嫌いなだけの理由ではない。


悪影響とは具体的に何かと言えば、みんなこいつに何も言えない。


その理由は後で話すが、その為こいつは調子に乗った。

それは口調もキツイから泣き出す生徒もいる。しかし鬼塚になにもいえない。

 

だが考えればそう、こいつも元々は良い子だったに違いない。


それは懇切丁寧にきちんと叱ってくれる人がいればという、考えからきているのだった。



月宮に、しかも生徒に色目使って気持ち悪いって言ったのが聞こえなかったかしら?

小馬鹿にしたような顔で鋭い事を言ってきた。


こいつほんとにいつか、顔面パンチをお見舞いしてやる。


廊下で少し寄っ掛かりながら腕を組んだ。


それは無意識にその鋭い言葉にガードするためだったのかもしれない。


ふん。全く余計なお世話だ。

と言ったが、だがそれとは裏腹に内心では、お前が正しいと、肯定もしていた。


しかしこの生徒は、不良グループのリーダ格であり、前に先生を、親と一緒に潰した生徒。


他の教師も手を焼いている。


潰された教師は何も悪い訳ではない。叱り方がキツかったとクレームをつけて来たのだ。


鬼塚の為、そして彼女に迷惑をかけられた相手の為に言っただけだ。 


しかし親と鬼塚はそう受け止めず、自分たちの非を棚に上げて、その教師を猛攻撃をした。


とんでもない奴だと思っている。


そう誤魔化さないと、月宮の事で恥ずかしさのあまり穴に入りたい心境になる。


なので、別の事を考える事にした。


心が退避せよと伝えているかの様だ。


仕事が終わったら何を食べよう?


帰りにコンビニ行くか、自炊か、もしくはチェーン店にでも行くか。


食べてストレス発散。


そして運動でリフレッシュ。


そして風呂入ってさっさと寝る。


寝れば嫌なことを忘れさせてくれるだろう。


そう色々と妄想していたが。


図星かよ。こいつが呆れるように、そして蔑む様な目で言った。


図星という言葉で妄想から、現実に呼び戻された。


それに反論する言葉が見つからない。


一応探して入るが、一言目が全く思い浮かばない。


誰かこういう時助けが入ったりしないか?


例えば他の生徒が話しかけてこの話終わりとか。


だがそれは虚しい考えだ。俺は少し廊下にいる生徒達を見た。


何故か少し笑っている様にも見えた。

生徒達に俺と鬼塚の話の内容が伝わっているのかもしれない、そう危惧した。



きっと今、どうした先生?

何か言ってみろよと、彼女は今思っているに違いない。

それは俺が何も答えられないから、そう思えて仕方がない。





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