第3話勧誘

先生ありがとうございます。先生のご好意に感謝します。


月宮のその言葉と笑顔で、俺はもう月宮の事しか、考えられなくなる。


考えておきますね。と月宮が言った



その言葉の真意を俺は知っている。それって絶対入る気ないだろ。と思った。


よく、機会があれば行くと、信用が0の言葉がある。それと一緒なのだ。


断る理由を考えておきますと言っているのに等しい。 経験からも分かる。


もちろん世の中は、絶対ではないから、何かの拍子に考えが変わる可能性もある。


しかしその可能性はほぼない。暗に断られたのだ。



廊下から、瑠璃ちゃん先生どうしたの?

と声をかけられた。その声には聞き覚えがあった。


俺が月宮と話している間に入ってきたこいつは、葉山美雨。


月宮の小学生の頃の友達らしい。よく一緒にいる姿を見る。仲が結構良い。


なので無碍にはできない。


それにこいつは、俺に信頼を寄せている。良く分かる。

教師やっていると接し方などで感じる。

が、それは男子生徒が頼りないと、消去法的に寄せているに過ぎないが。


葉山いや、月宮をうちの演劇部に入れたいと思ってな。


お前もどうだ?月宮説得して、一緒に入らないか?


一応こいつは、中々整った顔立ちをしている。だが、凄い気が強そうな顔をしている。


目がキツネの如く吊り目になっているからだろう。



もっとも、もっと気の強そうな顔をしている生徒を知っている。


いや気が強そうは、語弊があるな。気が強いのだ実際。


そいつの親はもっと気が強い。出来れば、触らぬ神に祟りなし。


まさにモンスターペアレントだ。本人もクズなら親もクズだ。


だが、流石にそう思っても、生徒の前で親を侮辱するのは教師失格だ。もちろん生徒の事をクズ呼ばわりは最低な事だが。


俺も一応は、先生だ。限度は守っている。クズ呼ばわりは撤回してやるか。


溜息を吐いた。その生徒はここにいないのに、嫌な事考えちまった。舌打ちをしながら心で呟いた。


しっしっ。俺はその生徒を頭から追い出した。


演劇部結構です。私そんなのに入らなくても演技めっちゃ上手いし。


でも確かに、瑠璃が入るなら入りたいかも。

葉山は、つれないことをいった。


つれないと思ったのは、入る入る、月宮も一緒に入ろうと、言ってくれると、少し期待していたからだ。


いやお前は、どうでも良いんだ。月宮を入れたいのに、月宮が入ったらだと?


役に立たない奴だと、俺は心で嘆いた。


まぁそれは自分の浅はかな考えで、彼女のせいではないが。


これは複雑な考えだなと思った。


月宮に対してもこの考えなら教師として、プロフェッショナルなのかと。


生徒に対して特段興味のない先生。


生徒の成長にも、将来にも全く関心がなく、ただ自分の生活のみに関心がある。


それは一転して最低の様でもある。だがきちんと何も悪いことを起こさず、保護者も安心して生徒を預けられる。


ただ生徒に勉強を教えるという仕事に邁進。


それに対して俺は生徒に深い行き過ぎた愛情を抱いている。もちろん思うだけだ。


バランスが大事なのだろうか?良い先生とは一体? と1人で俺は悩んでいた。


中々こんな事、人に相談はできないからな。と1人心で語っている。


エコ贔屓するなよ先生と、言われたと相談された事もある。


俺は自分でもそうだから、アドバイスは出来ない。


そうは言っても、相談されたからには一応

その先生には、なんでエコ贔屓してると思うのか? 

とその生徒に聞いて話し合ってみたら、と伝えた。



そして生徒からその答えが返ってきたら、どんな答えをされるかも事前にシュミレーションしておく様にと言った。


さすが鎌田先生ありがとうございます。とその教師は喜んでいた。



だが俺はそれに忠告を添えた。

ですが先生必ずしもその生徒がエコ贔屓まぁ、分かりやすく言うと偏見ですね。

それに答えるとは限らないでしょう。


すぐにその答えが出るとは限らないのです。と伝えた。


しかしそもそも、エコ贔屓なんて何故するんだろう? その生徒が従順だからか?


理由は色々あるだろう。人間としての相性もあるだろう


教師の永遠のテーマだろうなと、心で考え、頭が少し痛くなった。


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