第6話 ナンパされました!

冒険者ギルドに向かうこと5分ほど・・・

普通の人であれば1時間近くかかるとのことであるが、前の街で速さを鍛え上げた私にとってみれば5分で辿り着く領域なのよね。


冒険者ギルドに到着してカウンターを目指そうとしたところで、いかにも柄の悪そうな冒険者集団に絡まれる。


「おう?嬢ちゃん。見ねえ顔だが、冒険者希望者か?」

「嬢ちゃん、冒険者目指すなら、俺らと遊ぼうぜ?」

「そうそう。楽しい思い出作ってやれるからよ?」


口々にナンパしてくる男たち。

まあ、どの町の冒険者ギルドにも一定数こういう人っているよね。


「商人ギルドからのお仕事で来ているだけです。冒険者希望では無いので結構です。仕事の最中なので失礼します」


そういって彼らの脇を通り抜けようとするが・・・


「ちょっと待ちなよ?俺らと遊んだっていいじゃねえか。」

「そうそう。思い出になる夜を作ってやるぜ?」

「ついでに気持ち良い思いもできるかもしれないぜ?」


―――しつこい上に下品な人たちですね・・・―――


そう思いながら強引に脇を通ろうとすると・・


「おい!聞いてんのかコラ!」

と一人が怒り出したようだ。

勢いよく覆いかぶさるようにして掴みかかろうとしてくる。


相手にされないからって逆ギレとか・・・どこのお子様ですか・・


そう思いながらその手を見るが、早く走り、高い動体視力を持った私には止まって見える。

少し力を入れてそれを躱す。

あっさりと躱すと、男は躱されると思っていなかったのか、少し驚いた様子を一瞬

驚いた様子を見せた直後に、


「このアマ!!!」

と怒り狂い、言いながら3人で掴みかかろうとする。


変わらず躱し続けるが、十数回あたりで段々と面倒に感じられた私は強硬策に出ることにした。

どのみち、私のお客はこの場合、冒険者そのものではなく、その冒険者を管理している冒険者ギルドなわけだからね。

冒険者を乱雑に扱ったところで、冒険者ギルドに対して丁寧な対応をすれば問題は無いだろうと思う。


組織に属し、組織として活動している人ならば、もちろん丁寧な対応が求められるけど・・・

組織と、組織に登録しているだけの個人とでは、その存在の在り方は違ってくるからね。


そして鞘が付いたままの短剣を取り出して、思いっきり下から殴りつける。

男の急所を・・・・

「うぎゃ!」「ぐぎゃ!」「うごっ!」


私としてはちょっと力を入れて移動しただけだが、ほぼ同時に殴りつけられた結果の為、ほぼ同時に男たちの醜い悲鳴が聞こえてきた。


股間のあたりを必死になって押さえた状態でうめき声をあげる男たち。


「何の騒ぎだ!?」


流石に騒ぎになり大事になってきたようだ。

カウンターの奥から一際体格の大きい男性が出てくる。


「君は?」

「私はアンネローゼと申します。ラジャリウス商人ギルドの仕事で参りました」


「それで?この状況は一体どういう事かい?」

「普通に扉から入ってカウンターに行こうとしたところで絡まれた形になります。

最初は無視して通り過ぎようとしたのですが、掴みかかってきたため避けたところ、避けられたことに対して怒りを抱いたのか3人で襲い掛かってきました。

それからもしばらくは避け続けていただのですが、一向に諦めてくれないので強硬手段をとることにしました」


「強硬手段?」

「具体的には急所を鞘で殴りました」


そして男たちの状態を確認して「ああ・・・」と納得したようだ。


「いや、すまん。こいつらはこの冒険者ギルドきっての問題児でな。

また何かやらかしたのかと思ったが、どうやらその通りのようだな。

こいつらの処分は必ずするから、ここは収めてくれないか?」


「別にこの人たちを処分するもしないもどちらでもいいです。ただ基本的にはこちらが被害者なわけですし、殺したりしているわけではないのですから、こちらに対して罰則を何か罰を与えるなどをしなければ構いません」


「そうか・・それは助かる。こいつらは基本的には問題児扱いだが、自分たちのランク帯における仕事であれば指示された内容はしっかりとこなせる奴らだからな。

素行に問題はあるが、仕事を放り投げるわけでは無い以上、一応人手になるんでな」


「商人とは違った考え方ですね。商人は信用が第一ですから。素行に問題があるとなれば信用問題に関わります。なのでそういう人材はリスクが高い存在と判断されます」


「そこは冒険者は最終的には自己責任だからな。何か取り返しのつかない問題をお雇用なら奴隷落ちも視野に入れて処分するだけのことさ」


「それで組織にダメージが無ければいいですね?」

「こりゃ手厳しい意見だな・・・」


「それでアンネローゼ嬢ちゃんの仕事ってのは何だ?」

「ポーションを届ける仕事を承っています」


「んで、そのポーションはどこにあるんだ?」

「アイテムボックス持ちなので収納しています」


「そうか・・・なら一度奥の部屋に案内させてもらう」

「わかりました。ポーションと言えば冒険者にとっては必需品の貴重品のはずですからね。扱いが厳重になるのは致し方ありません」


「理解があって助かるぜ」




そういって私は奥の部屋に案内されることになった。

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マッハ少女、世界を無双する! きよすいようはねた @jckmlivly

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