第5話 急ぎます!
「じ、嬢ちゃん・・・君は一体・・?」
「あ、すいません!なんかいつの間にが全部倒しちゃってたみたいです!」
「い、いや、良いんだ。実際危なかったから倒してくれて助かったよ。
それで嬢ちゃんは・・・・?」
「あ、すいません!急いでいるのこれで失礼します!」
「え・・・ちょ、ちょっと!謝礼の話を――――!!!」
何か叫んでいるみたいだけど急いでいるので耳に入りません!
ウルフたちとの戦闘で取り戻せたはずの遅れがまた生じてしまったはずだ。
ラジャリウスまではあともう少し、ラストスパートをかけて一気に走り出す。
そうして私は夕方にはラジャリウスへと到着した。
到着した際に門番の兵士さんにとりあえず泊まれるところを探していることを伝えて、お手頃価格な民泊を紹介してもらった。
本当に止まるだけの宿でしかないんだけどね?
その日は1日中走り回ってたのと2度の大きな戦闘で疲れていた私は、そのまま死んだように眠りについた。
翌朝、商人ギルドへと向かう。
商人ギルドに着いて紹介所を渡すと、急いでどこかに持っていっていた。
どうにもギルドマスターのところに行っていたようだ。
「それで嬢ちゃんは2年間配達関連の仕事してたのかい?」
「はい!これでも足には自信があります!」
「うーん。嬢ちゃんがいくら早くても大きなものを運べないとなるとかなり厳しいぞ?」
「いえ、アイテムボックスがあるのでタンス1つくらいであれば余裕で持ち運びできますよ?」
「何!?・・・確かにアイテムボックス持ちとなると話が違ってくるな・・」
そのまま考え込んでいるようだ。
「よし、わかった。これから先も商人ギルドとして運搬の仕事を依頼しよう」
「えーと、依頼・・・ですか?斡旋ではなく?」
「ああ、前に嬢ちゃんがいた街がどうなのかは知らないが、この街は他にも冒険者ギルドってのが存在しててな。
ポーションを卸してるのは商人ギルドだが、ポーションを必要としてるのは冒険者ギルドなんだ。
だから商人ギルドから冒険者ギルドに卸す際には荷馬車を用意しなきゃいけねえし、瓶が割れたりだとか気にしなきゃいけねえ」
確かに言われてみればそうだよね?
冒険者たちが買いに来てくれればいいだろうけど、冒険者からすれば冒険者ギルドで購入してそのまま討伐とか採集とか行ければいいのに~って思うもんね。
「だからアイテムボックスに入れちまえば、そこそこ重量が嵩むし、瓶が割れたりする危険も無い嬢ちゃんに頼めば今までよりは安いコストで運べるってことだ。
勿論極度に運搬料を安くするつもりはない。だけどコストが下がればこっちもそれだけ利益が得られるからな!」
それはそうだよね。
仲介する人が増えれば増える分だけ、費用は高くついちゃうのは当たり前だもんね。
「わかりました!いつから働けばいいですか?」
「いきなりで悪いが、今すぐってのはできるか?」
「できますけど・・・いいんですか?」
「ああ、最近は需要に対して供給が追い付いてない状況でな。
こっちとしても早く卸してやりたいんだ・・・
だけどようやく数がそろっても、運ぶのにも慎重にならなくちゃいけねえからな」
「そういう事なら任せてください!私は生き物を運ぶ仕事と法律に触れる仕事以外なら何でも運ぶつもりでいますから!」
「ハッハッハ!頼もしいこと言ってくれるじゃねえか!」
「あの・・・お願いというほどの物でもないのですが、この年齢なので行きなり言って言葉だけで説明しても信用してもらえないと思うので、冒険者ギルドへの言伝書みたいなものがあれば作っていただけませんか?」
「あ・・・すまん。確かに言われてみればそうだな。嬢ちゃんからは紹介状をもらったから、すんなりと受け入れることができたが、それが無ければここまですんなりとは受け入れてなかっただろうからな」
「はい、そういうことなので、お願いいたします」
「よっしゃ!そっちに関しても任せな。おい、嬢ちゃんをポーションの保管庫に案内してやれ!」
「承知いたしました」
そしてマスターは手紙を書き始めてくれて、私は担当の人に案内されて運搬するポーションをアイテムボックスに入れた。
本数はどうにも1箱に20本ほど入っており、50箱あるようだ。
結論を言えばそこに置かれていたポーションは全てアイテムボックスに入れることができた。
スキルもステータス同様に使えば使うほど進化していくものだ。
最初の頃はタンス1個が限界だった私のアイテムボックスの容量は、今では家1件くらいであればギリギリ運ぶことができる量にまで増えていた。
そして私はマスターから手紙を預かる。
「できれば今日明日中に終わらせてくれると冒険者ギルドとしても助かるはずだ。
その期限までに終わらせてくれたら報酬も弾ませてもらおう。」
「え?いや?多分今日の午前中で終わりますけど~」
「はぁ!?あれだけの量を運ぶんだぞ?何回か往復しなきゃならねえだろ!?」
「いえ、1回で全部収納できましたけど?なので1往復で終わりますよ?」
「はぁ!?」
信じられない顔で担当官さんをみるマスター。
そして困惑顔で必死に頷く担当官さん。
なにか変なことでもあるのだろうか?
「それじゃあ冒険者ギルドの方が待ってると思うので急いで行ってきますね!」
そう言って駆け出した。
割と全力で・・・!!!
それを見ていた商人ギルドのマスターや街の人たちは驚いていることに彼女は気づいていなかった。
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