京都スパイ高校へようこそ

@dxtoju

第1話

 そもそも、父親が朝っぱらから素っ頓狂なことを言ったので、俺はあさからブチ切れたのだ。俺は必死に勉強して地元の進学校であったH高校に入学が決まり4月からは晴れて有名進学校の1年生になる予定だったのだ。

母は俺を生んですぐになくなったといわれてきた。その分父親に負担をかけてきた。その分父親には親孝行したいと思っていた。だから頑張ったというのに。

 その父親が朝に「おまえ、H高校から転校しろ」というのだ。父は職業外交官だ。俺もいずれは外交官になるとぼんやり考えていた。だから、父親のこの発言には思わず「何を言いやがるこのくそおやじ、俺がどれほど苦労したか知ってるのか」

「ああ知ってるさ。でもな、今回の転校はお前にとっていい話なんだ。」「それだったら受験前に言ってくんねえかな。」

「今回は、急に欠員ができてな。」

「そもそもその京都技芸学校って、なになんだよ。そんな高校よっぽどの無名高校なんだろう。やだよ。そんなとこに行くのは。メリットなんにもないじゃねえか。」

「わしがお前に向いていると思ったのは、お前が曲がったところが大嫌いというその性格さ。」

「そもそも高校進学に性格は関係ないだろ。その話は断っておいてくれ」


第三次世界大戦の際には、父は相当活躍したと父の友人が我が家に遊びに来た時に聞いたことがある。もう大戦は終わったが、アジアをめぐる情勢は一変していた。今後は、優秀な外交官はますます必要になるだろう。おれも父親並みに仕事のできる外交官になろうと思っていた矢先の転校話だ。

 いずれにせよ、今日からに入学式だ。俺は急いで家を出た。地下鉄の東西線に乗り、二条城駅で下車した。階段を上がって学校に向かうと、朝っぱらから男子高校生の不良が女の子をむりやり口説いている最中だった。少しは腕っぷし覚えがある俺は、女の子を守るために、「お前、何してるんだよ」と詰問した。

「てめえに関係ないんだよ」とその金髪。

仕方がない。実力行使だ。金髪に右ストレートをかましてやった。確かに手ごたえはあった。「やったか」と思ったが、その次の瞬間、俺は気を失っていた。

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