03 幼馴染の好きな人を見つけ出す
「
「え……?」
休み時間、瑞希に話しかけると驚いた表情を浮かべていた。
その表情から察するに、やはりこれが答えだったか。
「ほら、同じ一年生なのにもうレギュラーで試合に出ているとか何とかって……」
瑞希から男子の話を聞くのが珍しかったので、記憶の片隅に残っていた。
「たしかに言ったけど……それはほら、かなり噂になってたから……」
「ああ、そっか。うんうん、そうだよねぇ」
ふっ。甘いよ瑞希。
あんたが男子の噂話をすること自体が怪しいんだ。
そうやって大多数の流行り話を隠れ
「
「分かってるよ、わたしが瑞希のこと分からないわけないじゃんっ」
あんたが今気になっているのはサッカー部の上杉だということがねっ。
「あ、う、うん……そうだよね」
なぜかこのタイミングで嬉しそうに顔を赤らめる瑞希。
……そうかっ。
きっと自分の好きな相手を誤魔化せたと思って安堵しているのだろう。
甘い、甘すぎるよ瑞希。
わたし相手に隠し事が出来ると思うなよ?
◇◇◇
「てなわけで、サッカー部の上杉くんっていうのはどこのどいつ?」
昼休み、わたしはこの報告をしに隣のクラスへと足を運んだ。
相手は勿論、昨日カフェでこの事を相談していた
「……はあ?」
そして凄い面倒くさい顔をされる。
何もそこまで露骨に態度に出さなくてもいいじゃない。
「いや、瑞希が前に上杉くんの話をしてたことがあったの。これってその子のことを気になってるからだと推理したのっ」
「……ああ、なるほど。佳珠羽はそう捉えたのか」
一体どこに頭を捻らせているのかはさっぱり分からないけど。
「その時に瑞希は、あんたに何か聞いてこなかった?」
「わたしに?」
さらに詳細に、記憶を掘り起こしてみる。
『上杉……?誰だそいつは?』
『ほら、一年生なのにサッカー部で試合にもう出てるって噂の……』
『へえ、すごいんだ』
『顔もすごくカッコいいんだって』
『へえ』
『そういう人、佳珠羽は興味ないの?』
『ない』
『そ、そうなんだ……』
そうそう、こんな感じの内容だった。
「……あんたも随分、淡白な反応してたのね」
「男子に興味ないからね」
わたしの瞳には瑞希しか映っていないのだ。
「それで、どうして瑞希はそんな会話をあんたにしたんだろうね?」
「はい……?」
沙智はさらにこの話に踏み込んでくる。
何かを考えろと言いたげだ。
「瑞希はきっと何かを伝えたかったんだよ」
「わたしに……?」
単純に上杉のことが気になるってこと以外に何があるというのか……?
「その話が終わったとき、瑞希はどんな反応してた?」
「そう言えば、なんかホッとしてたような……」
「そうそう、それだよそれ」
沙智いわく、そこに答えがあるらしい。
つまり……。
「あっ、恋のライバルが減って安心してたんだっ!」
なんせ相手はサッカー部のイケメンエース。
きっとモテるに違いないから、瑞希はライバルが近くにいないか確認したかったのだろう。
「……ああ、そっち行ったか」
「ちがうの?」
「他の解釈も出来るんじゃない?」
ほかに……?
「はっ、そういうことか」
「気付いた?」
「瑞希はサッカー上手い人が好みってことね!」
実は瑞希はサッカー好きで、スポーツが得意な人間が好みなのかもしれない。
「そういうことねっ?」
「……」
沙智が遠い目をしている。
きっと、わたしの名推理に圧倒されているのだろう。
「さあ、そうと決まればその上杉って子が誰か教えてよ」
「……教えてどうするのよ」
それも、決まっている。
「勝負して、どちらが上が白黒つけるのよ」
わたしの恋の行く手を阻む者を許しはしない。
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