第4話 勝負の結末
7回表、佐藤の出番が回ってきた。マウンドに向かう前に、ブルペンにあった紙コップに水をとり、それを一口飲んだ。ピッチャーたちから力水と呼ばれるそれは、佐藤の緊張の糸を少しほぐした。「やってこい」低いバリトンが聞こえた。佐藤は無言のまま頷き、任された仕事場へ足を踏み入れた。
18mほど先に待つキャッチャーミット。前までは小さく見えたが、今日は一段と大きく見える。錯覚という事は分かっている。ただ何か、自分の中に沸々と漲るものを感じた。バッターは3番、永山亨。去年の首位打者である。ただ、佐藤に怯えは無かった。そして、一つの確信が芽生えた。ただ彼に向かって、自分の全力を叩き込むだけ。その勝負の末に、
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