第5話
「単刀直入に言うと君にはゴフテッド対策局に入っていただきたいと思っています」
概要の流れですらすらと出てきたその言葉に私は息を呑んだ。ゴフテッド対策局(
実験にでも使われるのか? それとも管理したいが故に近くで事務員でもさせられるのだろうか?
転職しようしようと思いつつも、面倒で今に至っている為公務員への道を提示されて魅力的に感じる自分がいる。
思ってもみないところから突然しかもスカウト……普段ならとてつもなくドキドキしているところだが、ここに着いてすぐに飲まされた薬が効いている為か比較的落ち着いて考えることができるようだ。
「スカウトですか? まさか制圧隊、ですか?……」
とても興味はあるがどんな仕事をさせたいのだろうか。
制圧隊は警察でいう機動隊のようなもので危険な仕事であるイメージがある。私の困惑をくみ取ってか、金手さんは話し始めた。
「あなたにしていただきたい仕事は実働調査です。
一般人に花形のように思われているのは制圧隊ですが、ゴフトを使った戦闘というよりもゴフトが関わっていると思われる事件・事故についての調査や相談に乗る仕事です」
「実働調査、というとデスクで仕事というよりも聞き込みなどをするのでしょうか?」
「その通りです」
金手さんは頷き、簡単に業務内容を教えてくれた。事務員が集めたゴフト関連と思われる目撃情報や現地で聞き込みをしたり痕跡を確認したり、一般人からの相談を受けたりするのだという。
「我々は常に人手不足で、ただ秘匿性も大切でしてゴフテッドの公募はしておらずスカウト制にしております」
彼は組んでいた指を解いて再度組み直した。
「私もゴフテッドです。ガネーシャのゴフテッドで2年前発現しました」
「ガネーシャ、ああと聞いたことあります。インドの」
「そう、別に今までガネーシャに思い入れがあったわけではないのだがね。ゴフトを人は選べないので、だからといって今は文句もないですよ」
金手さんは就業条件等が記載している書類を持ってきていたようで、それをボードごとガラスに立てかけ見せてくれた。
このくらいですと見せられたその給料の額に私は瞬きした。とてつもなく高い!
私の目線が彼と書類を2回ほど往復する。
「まあゴフトを扱う仕事のため危険なことなどもありますので、様々な手当がつくとこうなります」
なるほど、まあそうですよね。制圧隊ではないとはいえ危険はつきものですよね。
仕事は主に調査、その他にゴフテッドになった一般人として生活するひとに対しての講習、相談が主な内容であるという。
ゴフトが関わるうえで事前調査・相談の段階で戦闘になる場面もしばしばあるようで、基本的にツーマンセル以上での行動をしているとのこと。
本当はよく考えるべきことなんだろうと思う。
しかしやはりなんというか、運命とでもいうのだろうか、私の勘がそうするべきだと思ってじった。
後ほど食事とともに差し入れられた契約書に私は本能のままにサインしてしまったのだった。
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