第8話

どうしよう、この老夫婦と話し続けると気力が持たない気がするっ!!


本当に申し訳ないけど、早く会話を終わらせたいッッ!



「はははっ!奈津美、それ以上はやめておけ。男の子が悶えておる…ふっ。これ以上は可哀想だ…ふふっ」


ちょ、笑わないでくださいよ!もっと恥ずかしくなるじゃないですか!


「あら、源治郎さん、女の子も同じでしてよ?そしてあなたの言葉にも刺激されてますよ?笑」



……なんなんだこの夫婦は!!!

めっっっっちゃからかってくるじゃん!!


もう恥ずかしすぎるからどっか行ってぇ

もうむりぃ


「あれ?そんなつもりはなかったんだけど…ごめんね、言い過ぎたね。もうこの老耄は退散するよ笑

楽しい時間をありがとう」


「からかってごめんね。孫のように接してしまったのよ。気をつけるわ。楽しい時間をありがとう」



そう言って老夫婦は何処かに行ってしまった……


「……」


「……」



…え?この空気どうしてくれんの?とても気まずいんだが?



「…と、とりあえず、帰ろっか」


「…そ、そうだね……」



あの人たちどっか行っても影響力強いのなぁ!!

最初の方の優しかった老夫婦帰ってきてぇ!!




―――解散地点にて



僕は今、解散場所で2人向かい合って立っている

周りは既に夕暮れで、とても綺麗だ…ハハッ


「…きょ、今日はありがとう。楽しかった」


「…う、うん。きょ、今日は楽しかった。こちらこそありがとう」



自分でも思うけど、流石に引きずりすぎじゃない?

こんな終わり方ある??


一応これ公式初デートよ??



ま、まぁ?楽しかったって言ってくれてるし?わ、我ながら良かったって思ってるよ?


…………ね?



「そ、それは良かった。こちらこそありがとう。帰り道気をつけてね」


「あ、ありがとう。気をつける」


おっと、そこの君。家の近くまで送ってやらないのか? とか思ってそうだね


僕もそう思って言ってみたんだけど、『気持ちだけで十分かな、ありがとう』って笑顔で言われたんだ

…じゃあ、遠慮するしかないやん?



…まぁこんな回想おいといて、、、

ここからどうやって離脱すればいいんだ?

せ、背を向けてもいいのか?……当たり前か


「じゃ、帰るね…またね」


「あぁ、またね」



最後の最後のインパクトがどデカすぎて、記憶には光と老夫婦しか残ってない


……どうしよう、今日寝れるかな?光が脳に焼き付いて離れないや




ピロン♪




ん?誰だ?

こんな夕暮れの時間に連絡してくる人なんていたっけ?



ーーーチャット



俊太:で、どうだった?


彩華:上手くいった?悲しませてたら許さないよ?


茜:ちょっと2人ともそんな直球で言っちゃう

の!?


というか、このグループも作って大丈夫だった

の??なんか光ちゃんに申し訳ないよ


俊太:そんなこと気にすんな^^


彩華:そうよ、気にしたら負けよ

私達が言わなきゃバレないわ




なぜこのグループができたのかというと、時は振られて2日後の日に遡る





﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋﹋



はぁ、今まで悪夢を見ていたんだろうか。これはきっとそうに違いない。そうだ、あんな急展開を僕は認めたくない


急に光が遠くに行っちゃうのは耐えられない


…でも、僕のこの真っ赤に腫れた目が、現実を主張してくる



光とは、もう会えなくなるかもしれない、永遠に



昨夜、現実に目を向けようとする度に自分では制御出来ないほど出ていた涙が、今となっては出てこない



もう、どうすればいいのか分からない

そもそも、自分に出来る事などあるのだろうか



……もう疲れた。本当は学校に行かなきゃいけないけど、今日ぐらいはいいよね、、


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


ピ ンピロ ♪

ピロンピロンピロン♪


…ブー ブー ブー ブー



ぅん?でんわ?だれから?



ポチっ


「あ、出た。おい颯斗どうなってるんだ!彩華がお前を泣きながら探してるぞ!?何かしたんか!?」


寝起きに聞くもんじゃないよ?こんな大声

騒がしいなぁ、まったく…


「おいおい、焦んないでよ、頭に響く、、、」


「そんなこと言ってる場合じゃねぇんだよ!!ていうか、お前どこにいんだよ!さっき彩華に詰問されたんだよ、知らねぇのに!」


いや、どこにいたって関係なくない?それに彩華?

どこから出てきたんだよ


「今ぁ?家だがぁ?なんか文句ある?」


「今の状況では文句しか出ねぇよ!早く学校に、あっ、おい、盗んなよ!」


「え?」


「ちょっと颯斗!!あんたどこ居んの!!」



……わぉ

お怒り彩華が来てしまったようだ



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