第23話 そして……
ここは……何処だ?
僕は真っ暗な空間に居た。
周囲には何もなく、ただ暗闇が広がっている。
僕は何をしていたんだっけ?
思い出せない……だが、とても重要な事だったような気がする。
とりあえず辺りを探索してみるか……
僕は歩き出した。
「本当に何も無いな……ん?何か聞こえてくる。」
いきなり、周囲から轟音が鳴り出した。
「うぉ!なんだ?この地面も揺れ動く轟音はッ!?」
轟音が徐々に大きく鳴っていき、限界まで達したかと思うと、次は目の前が白い光に包まれた。
そして、僕は目を覚ました。
「そうだ……僕は涼風杜庵と戦って意識を失っていたんだ!」
やがて、視界が晴れてくる。ぼやけていた世界がはっきり見えるようになる。
僕は言葉を失った。
何故なら、そこには公園がなく、宇宙が広がっていたからだ。
放心状態の僕の目の前に誰かがやって来た。
「目を覚まさないと思ってたんだが……」
「お前は!何をした!瞳たちをどうした!」
「安心しろ。お前の友達は生きている。世界が混じ合わさっているんだ。あと10分もしたら全てが元通りさ。捻れた運命もイレギュラーな世界も……全てね。」
「お前はどうなるんだ?」
「1つの世界に同じ人間は1人でいい。人生に悔いはない。能力を使いすぎた……もう俺は助からないだろう……最期に、慈雨向に会えたら良かった……」
「おい!お前は僕の家の料理人だろ!死ぬなよ!!主人公は死なないだろ!」
「主人公は変わった……お前が、主人公だ……まぁ俺はまだ死なないがな……人が死ぬところを見るのはいい気がしないだろう?俺は……カフェにでも行くかな……」
涼風杜庵は最期の力を振り絞って動き出した。
僕は1歩も動けなかった。
やがて、涼風杜庵の姿が消えた。
僕は涙を溢しながら膝から崩れ落ちた。
そして、世界が混じ合わさった―――
僕は目を覚ました。
「ここは……?」
僕はどうやら公園で寝てしまっていたらしい。
体のあちこちが痛い。
「今日は学校は休みだよな……」
「あっ!杜庵〜何してるの?」
声をかけてきた奴の名前は星空瞳、僕の“幼馴染み”だ。
「ちょっと朝から運動してたんだ。お前は?」
「私は日課の散歩だよ。前にも言わなかったっけ?」
「言ってたか?忘れた。」
「ふふっ、杜庵らしいね。」
朝日が差し込む公園の中で僕らは笑いあった。
こんな日々が続けば良いな……と僕は思った。
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