第24話 日記
7月5日
今回の世界は何かが違うような気がする。
数えてみれば5回目の世界だ。今までの世界では俺と同じ涼風杜庵は居なかったが何故かこの世界には居た。この世界では慈雨向を必ず見つけてやる!!
タイムリミットは1ヶ月、それ以内に見つけることが出来なかったら俺は死ぬ。
死んだらそこで死ぬ運命だったって事だ。
運命って言うのがあいつの口癖だったっけ……懐かしいな……
7月15日
最近、日記を書くのをサボってしまった。
この世界に来てから早くも10日経ったが未だにあいつを見つけられていない。
ふと思ったが……もしこの世界のあいつを見つけたらどうしようか……まぁ、見つけれたら考えよう……
7月20日
この世界は俺が元いた世界とあまり変わらないようだ。前の世界は結構違ってたのに……
まぁ気になるところだがそれは置いておこう。
まだあいつを見つけられていないほうが問題だ。
後15日しかない……そろそろ焦ってきた。
この世界を逃したらもう次はない……なんとなくそんな気がする。
7月25日
もう日記は5日ごとに書くことにした。
俺は何故日記を書いているのだろうか……
それはそうと、3日前杜庵の友達が家に来た。
名前は確か瞳と神名だったっけ、2人とも能力者らしい……この世界には能力者が多いのだろうか……
杜庵に聞いたんだが瞳の能力は『災難を呼び寄せる能力』らしい……それは、『不運を呼び寄せる能力』とも言える。そう考えると慈雨向の能力と似て非なるものだな……
7月30日
もうそろそろタイムリミットが近い……あいつを早く見つけないと……
あいつの能力は『運を呼び寄せる能力』だったはず……
あいつとジャンケンをしてもあいつが勝つ。
だが、そんな能力を持つ奴でも死ぬときは死ぬ。
いや、あいつは死なない。きっと今でもなんとかして現世にしがみついてるはずだ。きっとそうだ。
こんな事を脳内で何回繰り返しただろうか……
精神的におかしくならないと良いが……
8月4日
日記を1日サボってしまった。まぁ良くあることだ。
今日は、能力を結構使った。杜庵がショッピングモールで化け物に襲われていたんだ。丁度良い運動になった。
今日で最後の日記になるかもしれない……
あの化け物は恐らく別世界からやって来たものだ。
世界に異常が起きている。
原因は間違いなく俺だ。
色々な世界を移動し過ぎた結果だろう。
この世界も何かおかしいと思っていた。
涼風杜庵がもう1人居るという事がおかしいのだ。
信じたくないが全世界共通で同じ人間は1人として居ないはずなのだ。
必ず姿や中身が変わる。
これを俺は見て見ぬふりをしていたのだ。
もう分かっていたのかもしれない……どの世界にも俺の幼馴染みのあいつは居ないって……
この世界は元々俺が居た世界が分離したものだ。
つまり、“中途半端”な世界なのだ。杜庵が“中途半端”を嫌う理由にはこれがあるのだろう。無意識だろうが……
俺が責任を取って元に戻すしかない。
とうの昔に覚悟は決めた。
慈雨向……もうそろそろ会えるかも知れない……
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