第17話 ショッピングモールにて
王様ゲームからいくつの月日が流れただろうか……スマホのカレンダーを見たところ5日しか経っていないが……
まぁそんなことは置いておいて、今は買い物に集中しないとな。
“僕”は今近くのショッピングモールに来ている。普段はあまり買い物に出かけたりしないが家で涼風杜庵に、たまには俺の代わりに夕食の食材を買ってきてくれよ。と言われたので仕方なく出かけている。
「はぁ……どうしてこんなに無駄に広いんだ?このショッピングモールは!」
面倒くさい……だが買い物をしないと夕食がない……やるしかないか……
「えっと……ピーマンと玉ねぎか……何処だろう?」
僕が店内を散策しているとアナウンスが流れた。
別に普通の事なんだがこのアナウンスは何か奇妙だった。
―――ピンポンパン―――
「店内にいらっしゃる、鈴木樺澤さん。至急、サービスカウンターまでお越し下さい。……がお待ちです。」
―――ピンポンパン―――
誰が待っているのかは何かノイズのようなものがかかって聞こえなかった。
1番重要なところじゃないか?
まぁ、そんな事を考えてもしょうがないか……
僕は手を動かした。
奇妙だ……僕は再びそう感じていた。
アナウンスが多すぎる……
さっき聞いたアナウンスを皮切りにアナウンスの数がグンと増えた。
まだ30分ぐらいしか経っていないのにもう10回アナウンスがなっている。
しかもどのアナウンスも最初に聞いたものと同じようなものだ。
気味が悪い……早く買い物を済ませて帰ろう。
そう思い僕が歩き出そうとしたら、スーツを着た男とぶつかってしまった。
「すいません。」
僕は謝ったが男は虚ろな目をしてふらふらと歩いていく。パラッと名刺が落ちた。
僕は名刺を拾った。
「あの〜落としましたよ。名刺を……」
僕がそう言うと男は足を止めた。そして振り返った。
「ほら、これです。」
僕は名刺を差し出したが、男は受け取らなかった。
「えっと?」
「ギィエィや〜!!!!!!」
突然、男は狂ったように叫び出し、走って言ってしまった。
なんなんだ?あいつは……
それにしてもこの名刺どうするかな……
僕は名刺をチラリと見た。
そして、体中に嫌な汗が吹き出した。
名刺には
「鈴木樺澤 30歳」
と書かれていたからだ。
なにか……嫌な予感がする……僕は、既に災難に引きずり込まれている!
いや、まだだ……まだ間に合うかも知れない……走って店から出れば!
僕は走り出した。
商品が入っている買い物カゴがそこら中に落ちている。
「クソ!出口は何処だ!広すぎる!!」
出口探しに手間取っていると、アナウンスがなった。
―――ピンポンパン―――
「店内にいらっしゃる、涼風杜庵さん。至急、サービスカウンターまでお越し下さい。あの世がお待ちです。」
―――ピンポンパン―――
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