第7話 手紙
突然だが貴方はもし、学校で自分の靴箱の中に手紙が入っていたらどうする?
大抵の人はその手紙をラブレターだと思うだろう。
しかし、ここにいる涼風杜庵はこれはラブレター何じゃないかという可能性を微塵も考えなかった。
朝、学校に登校してきたら靴箱に紙が入っていた。
僕はそれをよく見ずにビリビリに破った。
どうせ誰かの嫌がらせだろう。僕は転校初日からヤバイ奴認定されているからな。
仮にこれが手紙だったとしたら直接伝えに来いよと思う。何で口頭じゃなく文字で伝えようとするかな?
“中途半端”にしか伝わらないだろう?!
まぁこれが手紙だったという可能性は微塵もないんだがな。
僕がそう思いながらビリビリに破った紙をごみ箱に捨てていると1人の少女が話しかけてきた。
「あの……手紙……読んでくれましたか?」
誰だ?こいつは?
そして今、手紙って言ったのか?
人違いか……いや、絶対に違う、心当たりがありすぎる。
そう理解すると、僕の心拍数は急激に上昇した。
マズい……あれは手紙だったのか……そんな事1ミリも考えていなかった……捨ててしまったぞ!ビリビリに破って!
さぁどうする?涼風杜庵!
手紙を読んだことにするか?それとも正直に言うか?
いや、よくよく考えたら僕は別に悪くないんじゃないか?“中途半端”に手紙で伝えようとしたほうが悪い。
だったらもう罪悪感を感じる必要もない。
きっぱり言ってやれば良いのだ。
「手紙ぃ?それは僕がさっきビリビリに破って捨てた紙のことか?まぁ、“中途半端”に手紙で伝えようとするほうが悪いよな。だから何か用があるんだったら口頭で伝えてくれないか?」
僕がこういうと少女は驚きだか恥ずかしいんだか絶望してんだか分からない表情をしていた。
「えっ……と、もう1度聞いて良いですか?」
「会話が成り立たないな。
僕は手紙をビリビリに破って捨てたから用があるんだったら口頭で伝えろと言ってるんだ。」
「あ……そうですか……じゃあ口頭で伝えるんで屋上に来ていただけません?ここで出来るような話じゃないんで……」
周りを見ると、登校してきたであろう複数の生徒がこちらを見ていた。
「屋上ぅ?はっきり言わせてもらう。断る。屋上は駄目だ、別の場所にしてくれ。」
なんたって屋上には変人がいるからな……いや、いないかもしれないが危険だ。
「じゃあそうですね……図書室!図書室はどうですか?恐らくですけど今の時間帯は誰もいないでしょう。」
「図書室か……良いだろう。」
正直、名前も知らない少女の為に動かなきゃいけないのは少し癪だがそれ程までに重要なことなんだろう。
仕方ない……ついていくか……
僕は図書室に向かう少女の後を追った。
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