【短歌】労働者の日々

ハルカ

今日もまた仕事へ向かう

ホームにて 朝の遅延のアナウンス

命の終わりに 静かな祈り


まだ眠い 月曜朝の会議室

部長の声だけ 元気に響く


いくらでも替わりはいると 上司言う

あなたの替わりも そうなのでしょう


理不尽を 紫煙に変えてひとつずつ

愚痴のかわりに 吐き出してゆく


「ズボラ」だと みんなは彼を怒るけど

その自由さに 密かに憧れ


社用車の 窓に流れる 愛おしき

ありふれた町 ありふれた日々


ネクタイに お堅く首を絞められて

ニッカボッカが 眩しく映る


今日もまた 同年代のあの歌手の

曲を聴いてる 気合を入れる


パソコンがフリーズ 自分も固まった

さっきのエクセル 保存してない!


社会人なん年目でも 外線は緊張しちゃう

「お待たせしました」


育ちゆく名刺ファイルの年輪よ

人脈という枝葉の証


軒先を巣立ち空へと 燕の子

またのお越しを お待ちしてます


退職をした同僚の

菓子折の軽さに惑う 留まる自分


食うために働いてんだ

ショクのためショクを抜くなど あり得ないだろ


残業に削られてゆく 我が命

使い古した 鉛筆のよう


世の中を動かす小さな歯車に

なれているかと 鏡に尋ね


花を摘むように 気軽に人を摘む

荒野の会社とちに人は育たず


ひっそりと打ち上げられた深海魚

本日ワタシ、やる気ゼロです。


ちんすこう・白い恋人・鳩サブレー

出張土産で旅行気分


「労働は尊い」なんて言うけれど

休みの方が よほど尊い

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【短歌】労働者の日々 ハルカ @haruka_s

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