第13話 流しそうめん

「礼央、ごはんだよ」

 昼食に呼ばれたので、礼央は英語の問題を解く手を止めた。ダイニングに行くと、素麺が三人前並んでいる。冷蔵庫から麺つゆを取り出しながら、礼央は薬味の用意をしている母に尋ねた。

「進は?」

「野球部で流しそうめん大会だってさ」

 進は中学で野球部に入っている。土曜日午前は練習があるが、昼食までには帰ってくるのが常だった。

「へー、そんなのあるんだ」

「同級生の子の家がね、ほら、寺のとこの。裏山の竹切ってくれたんだって」

「たっくん?」

「そうそう」

 寺生まれってすごい。竹を切る道具や流しそうめんの設備まで揃っているとは。

 礼央はちょっと昔に流行ったインターネットの噂などを思い出しつつ、茹でたてでぬるい素麺をすすった。

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