第7話 洒涙雨
朝から曇り空だったが、夕方から弱い雨が降り始めた。
そういえば今日は七夕だったなと礼央は思い出す。合格祈願でも書いていくかとテーブルに歩み寄り、折り紙を縦長に切った短冊とサインペンを手に取ると、短冊を貼り付けていた親子の会話が耳に入った。
「雨だとおりひめとひこぼし会えないよ」
「でも、お空の上は晴れてるんだよ。この間飛行機乗った時に見てたでしょ」
「じゃあ会えるかな? お願いごと叶う?」
「叶うよ、アヤちゃんがいい子にしてたらね」
「してる!」
礼央は短冊に「大学合格」とだけ書き、パネルの隅に貼った。親子は七夕の歌を歌いながらロビーを出ていく。親子の貼った短冊の願いごとはどれだったっけとパネルを見たが、たくさんの願いごとに埋もれてよく分からなくなっていた。
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