Day20「甘くない」

「思ったより甘くない。物足りない」


 次の講義までの休憩時間に彼女がカップアイスを頬張っている。売店のやつだろう。

 彼女の場合、あれがイコール昼食になりかねないが。


「ねえ、残り食べてよ」

「いやだね」


 隣の友人に残りを渡そうとして断られている。


「私はアイス自体好きじゃないし。あんたと間接キスしてやる義理もない」

「清々しい言い方、らしくて好きだけど!」


 と言いつつまだ喚いている。


 やれやれ。これ以上は他のメンバーにも迷惑だ。


「いらないなら、俺が貰う」


 ぎょっとしたのは、彼女ではなく友人の方だった。

 お前マジかという友人の目を無視して彼女のカップを取り上げた。


「助かる。ありがと!」


 いや、俺への反応、それでいいのか。

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