お試し140字SS×2:全てはここから

【絵画好きな彼女視点】


「絵に興味なかったんじゃなかったっけ?」


 展覧会について来た彼を横目で見上げる。無駄に背が高いんだよね、彼。

 確か美術館は眠くなるとか言っていた気がするんだけど。


「絵に『は』興味ない」

「なら何で来たのよ」


 その問いにはため息を返された。何でだ。



【絵に『は』興味ない彼視点】


「絵に『は』興味ない」


 我ながら婉曲な言い方だ自覚していた。

 だから彼女が心底理解できないという表情で「なら何で来たのよ」とぼやいたのも、まあさもありなん。


 それに答えるのは簡単。

 だが、さっさと手の内を明かすのも興醒めだ。


 暫くは、このままで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る