第3話 地球防衛隊

「なんだかよく分からないけれども、地球が私の力で助かるならば!!」


 葉月なら、そう言うと思った。

 だよな。葉月は、そういう奴だ。

 そこが、葉月の良い所だとは思うが、俺はとめない訳にはいかない。


「葉月、やめとけって。こんな怪しいうさぎの言うことを聞いて良い訳がないだろう?」

「で、でも……」

「怪しいっておっしゃいましたね? この私のどこが?」

「まず、そもそもうさぎっていう時点で怪しいだろうが!!」

「ああ!! 何たる偏見。見た目で人を判断するとは、何とも嘆かわしい」

「見た目で判断してはいけませんの領域は、大幅にぶっちぎっているだろうが!! うさぎ野郎!」


 うさぎがスカウトとして現れる団体のどこが怪しくないのか。

 怪しくないと言い切れる要素は、微塵もない。


「まったく。お若いのに頭の固い」

「固い、固くないの問題じゃない」

「私は、月星人でございます。地球上の『うさぎ』と申す生き物と似ていることは存じておりますが……そんなにうさぎうさぎと連呼されるとは、心外でございます」

「その見た目で、うさぎと連呼されない方がおかしい……は? 月星人?」

「月と呼ぶのでございましょう? 我が母星を」


 ということは、ラルフは月のうさぎっていうこと?

 餅つけ……いやいや、落ち着け!!


「やれやれ、未だに地球では、この宇宙に宇宙人がいることは、秘密になっている。しかし、情報は漏洩して、『ミュー』とかいう雑誌には、宇宙人の存在は証明されておりますでしょ?」


 そんな有名オカルト雑誌の名前を挙げられても困るのだが。

 まあ、攻めてくる宇宙船があるっていうことは、月にうさぎのような宇宙人が住んでいる可能性があってもおかしくはないのか?

 そもそも、その宇宙船の話自体がうさん臭さ百パーセントだ。


「このたび、地球防衛隊を通して、私たち月と地球は、敵と戦うために同盟を結んだのでございます」


 すごいな。地球防衛隊。

 月との同盟を結んでいるんだ。


「地球と月は、モチつ持たれるの関係にございますから……ほら、今、笑うところですよ!」


 モチの所が笑いどころだろうか? 分かんねえな、月星人ジョーク。

 母星では大爆笑のジョークなのに。と、ラルフがため息をついている。


「とにかく、困っているってことでしょ? 行ってみましょうよ」

「ええ? 本当に?」


 葉月が行くと言うならば、一人では行かせられない。

 俺も一緒に行かなければ。


「お嬢様、ありがとうございます。お力をお貸しいただけますと、大いに助かります」


 ラルフは、葉月の言葉にうやうやしく頭を下げて礼を言った。





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