第262話 銃撃フラグ

 「で、どこから見てたんだ。」


 本当はエマさんあたりに聞きたいところなのだが、なぜかエマさんからめちゃ濃い殺気が流れてくるため顔半分は海斗の方角に向いて喋った。


 ここはJR大久保駅前にあるイオンの中のスタバである。前回の祝勝会、というか反省会吊し上げを兼ねて俺の奢りで集まっている。


 「最初からっす、オレ、止めに入ろうかとマジでむっちゃ悩んだんすよ、ぶちょーがなるつもりだったのだとは思ってましたけど手を繋ぐとかヤバすぎっす、エマの姉御の顔がみるみる真っ赤になって今にも飛び出しそうになったのを俺と空斗でなんとか抑え込んだんっすから。」


 さ、最初から見られていたのか、、、黒歴史追加やな、、


 俺は動揺を隠しきれずに真っ赤になってしまった。


 「しかもぶちょー、最後は薫子さんを抱きしめてましたよね、エマの姉御、マジで拳銃の筒先をぶちょーに向けてたんですからね、あれ、安全装置外れてましたよ、マジで。」


 "オレ、敵が攻撃して来なかったら死んでたかもしれないな、、、"


 オルガに噛まれた時もヤバかったが、今回はマジで殉職ものか、気をつけよう、、


 「う、おほん、もちろん敵を誘き寄せるためさ、オレを誰だと思ってるんだ。」


 動揺を隠すかのように偉ぶってみせた。


 「ここ、部長の奢りなんですよね。」

 エマさんは真っ赤な顔をしてコールドドリンクをちゅうちゅう吸い尽くしてもう次のオーダーを入れている。


 はっ!


 ちゅうちゅう音がハモってる。

 首をカクカクっと向けると陽葵ひなさんも吸い尽くして新たなソフトドリンクの注文を入れていた。


 "そうやった、陽葵さんも薫子推しだったわ。


 「エ、エマさん、ひ、陽葵さん、どんどん注文してね。」


 エマさん、陽葵さんの顔の上にスタバのセイレーン海の魔女の顔が乗っかりオレを威圧していた。


 "とほほ、オレの恋路はずいぶん遠くになりそうだ。"


当の薫子は好物のドーナツにがっつき、絹のような銀髪サラサラ栗鼠リスへと変化へんげしていたのであった。


 こうして俺たちの夏休みは終わりを迎えた。

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