第249話 オルガ
「あれ、オレ死んでない。」
霧の底にたどり着いた俺は普通に目を覚ました、頭も痛くない。
起き上がると俺に襲いかかった「異形」がそこにいて俺はギョッとしたが、もう襲いかかってこないようだ。
よく見ると髪は銀髪だが短髪だし、近くで見ると薫子とはやはり少し雰囲気が違う。
何よりおでこから伸びる一角獣のようなツノはやはり異形である。
大人しくしているしもう襲ってはこないようだ。
「名前をつけろとか言ってたな。」
GSIに顔を近づけると8本足がその場で足踏みをして動く、動作音はやはりGSIのそれである。
コマンダーユニットの脇腹?あたりに文字列が読み取れる。
ロシア語か、ウクライナ語?もしかしたらヘルモーズ語かもしれないが俺は読めない。
かろうじて「Orga」らしき文字が見えた。
「オーガ」と読むのだろうか。
そういえば異世界アニメでおでこにツノのあるキャラクターは「オーガ」と言ってたな、それと関係あるかどうかはわかないが。
オーガの女性キャラといえば「転スラ」の「シオン」か「シュナ」が思い浮かんだので名前はどちらかにしようかと思ったが、流石にパクリはまずいかもしれない。
普通に女性らしい「オルガ」にした。
「君の名前を決めたよ、名前は今日から『オルガ』だ。」
その瞬間!異形の各所にグリーンのインジケータが点滅し始めた。
俺の体調がまたおかしい。
また軽い頭痛とともに自分自身がどんどん希薄になって空気に溶け込むような、身体が巨人と化し、どんどん巨大化するような、そんな異様な感覚が襲う。
気分が悪い、吐きそう。
かと思ったら今度は頭の中が澄みきり、打ったことはないが、まるで覚醒剤でも注射したかのような高揚感、全能全知感に包まれる。俺はあのオーバードーズ中学生少女の恍惚とした表情を思い出していた。
まさかさっき注入されたのは麻薬だったか!しまった!
真犯人が俺たちの捜査に気がつき、薬漬けにしようとしたのかもしれない。
そうであるなら俺は「してやられた」ことになる。
血液から覚醒剤などの禁止麻薬が検出されたらタダでは済まないだろう。
自業自得とはいえメンバーのリーダーである俺が麻薬使用で捕まればおそらく大変なことになるだろう。
そうでなくても俺は世間様に隠し事が多いのだ。
みんなに迷惑をかけてしまう!
どんどん希薄になる意識の中で俺は深い後悔に包まれていた。
そして俺には二度目の昏倒が訪れたのである。
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