第247話 取り違えポンコツ女神
俺の叫びも虚しく響き、自動音声はそのまま続く。
「チュートリアルを開始します。」
「まず、王女殿下には生後すぐに後日マーカーとなるナノマシンの接種が行われています、後日の他人との取り違えを防止するためです、そのナノマシンはDNA配列を記憶して脳幹に定着します、そして今回改めてガーディアンから接種を行いマーカーとの照合が完了しましたのであとはガーディアンに名前をつければマスター登録は完了です。」
思いっきり他人だけどな、間違ってるよポンコツ女神様。
俺は心の中でつぶやいた。
「次に製品の説明に移ります、前の説明をもう一度聞くときは『戻る』とコールしてください。」
俺は特に興味もなかったのでそのまま黙っていた。これ、いつまで続くんだろ。
「まず、王女殿下はこのガーディアンと常時接続されたことにより、ガーディアンを通してゼロ・ポイントフィールドにアクセスすることができます。その際、情報過多とならないようにガーディアンが適切に取捨選択を行います。次に、王女殿下はこのガーディアンを通して周囲1000メートル以内のGSIを敵味方問わず支配下に置くことができます。統率はガーディアンが行うため王女殿下は意思を伝える、つまり念じるだけでコマンドを出すことができます。抽象的なコマンドであってもその意図を汲み取りガーディアンは行動に移します。」
おいおい、それはむちゃ面白そうじゃないか、俺は王女じゃないから関係ないけど。
「次に製品の特長、機能についての説明に移ります。前の説明をもう一度聞きたいときは『戻る』とコールしてください。」
「‥‥‥」
「では特徴及び機能の説明に移ります。まず人間型コマンダーユニット部分についてはスパイダーユニットから分離することができます。ただ、分離を行うとコマンダーユニットのエナジーフィラーの最大稼働時間は12時間です。エネルギー補給はスパイダーユニットに再接続して充電行為を行うか、市販の汎用アンドロイド用エナジードリンクを一日に3回程度口腔より摂取させる必要があります。エナジーが一定程度まで低下するとスリープモードへ移行します。」
三度のメシ食うんだ、、しかも寝るんや、人間みたいやな。
「そして、コマンダーユニットは背面より折り畳み式ガラス羽根を展開してドローンとしても活動できます。ドローンの最大飛行時間は4時間です。」
すごいじゃないか、コイツ。
「最後にメンテナンスですが、基本的にメンテナンスフリーとなっております。内蔵されている修復ナノマシンにより故障、破損、摩耗箇所は随時交換し、2つの修復ナノマシン製造装置が内蔵されておりますので必要元素を自己調達し、活動を継続します。なお、修復ナノマシンはスパイダーユニットにのみ搭載されています。コマンダーユニットには修復機能はありませんのでスパイダーユニットに接続して修復を行なってください。説明は以上です。」
それを最後に女神?の声は途絶えた。
俺はだんだんと意識が希薄となってきた。
今度こそ死ぬんだな、俺はそう直感した。
「面白そうた話は聞けたけど人違いだし意味ねー!取り違えポンコツ女神め、あの世で会うことがあったら文句のふたつみっつ言ってやる!。」
俺は悪態をつきながら深い霧の底に落ちていった。
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