第244話 秘密
陽葵さんの食堂を映したGSIが沈黙した後、次に映し出されたのは下着姿の中学生くらいの少女の姿だった。
俺はさすがにこれを見てはヤバい!と思って目を逸らそうとしたときに見覚えのあるビンが目に留まった。
少女の前のテーブルには例の咳止め薬3瓶が並び、少女は深めのガラスのタンブラーに3瓶分全部入れ、炭酸水を注ぐと無言で飲み始めた。
口からは液体がずいぶんと垂れているがお構いなしだ。
そして全て飲み干すと安心感というか、恍惚感、そんな感じの表情を見せて頬を赤らめてそのままテーブルの横で寝転んだ、倒れ込んだと言ったほうがいいかも知れない。
俺は必死で映像を凝視した、何か手掛かりになるものは写りこんでないか?
しかし、やや薄暗く、特に変哲もない部屋であり殺風景で手がかり的なものは写り込んでなかった。
カメラの向きが変わった、GSIが動き出したようだ。
右下に何か英数列が表示されている。
俺は思わずメモに取った、GSIの個体識別コードかもしれない、そう直感したからだ。
GSIはしばらく動き回っていたようだが、突然、別のGSIのカメラに切り替わった、数が多いためランダムに切り替わるのかもしれない。
あの少女は大丈夫なのだろうか。
心配であったが、ランダムに映って消えてしまう画像では何の手がかりもない。
そもそもこの施設のことが公になれば俺も相当やばいことになるし、仮にじいちゃんがプ連のスパイだったりしたら平一家は終わりである。
俺は自分可愛さに、これまで通り沈黙を続けることにした。
ただ、あの知らない少女の恍惚とした表情は俺の脳裏に焼き付いて離れなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます