第229話 海斗と空斗、そしてエマ、そして事件が起きる。
中学校の同じクラスにこれもまた幼稚舎時代からの腐れ縁の海斗と空斗という双子の兄弟がいる。
双子のお父さんは陸上自衛軍の佐官で、お兄さんも16歳でありながら陸尉の階級を持ち活躍している。
俺的には名前が海斗と空斗なのでそれぞれ海上自衛軍と航空自衛軍に入るものと思っているのだが、二人は食いしん坊なだけが取り柄で軍に入るかどうかは決めていないらしい、そもそもいまの二人には日本国を預けるのは少々心もとない。
ただ、二人とも跳躍力だけはずば抜けていた。
陸上の棒高跳びやバスケットボールをやらせたら好成績を残すかもしれない。
幼稚舎の時のことだ。
あろうことか二人は空中に浮遊して見せた。
二人が言うには父が宇宙人で僕たちは宇宙人の子供だから飛べるんだと自慢されたような記憶がある。
もちろん幼児の時の話だ、ありがちな妄想だったのだと思う。
ただ、そんなに筋肉がついてるように見えない二人の超人的な跳躍力。
これが9つ目のミステリーである。
アメリカのドラマでスーパーマンとその子供を描いたものがあるが、どうしてもそれと重なってしまう。
俺はおかしいのだろうか。
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また、女子の中にも幼稚舎からの腐れ縁がいた。
エマ・藤原である。
エマちゃんはハーフなのだが、その藤原家は室町時代から続く検非違使の末裔らしい。
忍者とは違うのだが、江戸時代よりはるかに古くから忍者のようなことをしていた家系だとか、その存在がそのまま10個目のミステリーである。
学校は一体本当に学生に「何を」させたいのか。
まったくもって理解できない。
陰の政府が正義のために学生たちを雇っている?
まあ、そんなアニメや小説のような話はありえないだろうが。
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今日はまたじいちゃんがいないので例の小部屋に来ている。
じいちゃんにバレたら素直に謝ろうと思うが、あれから何年もバレる様子がない。
念のため、そこに置いてあるものには一切触れず、靴を脱いでそっと中に入るのだ。
そこのモニターに映し出されているのは。
GSIからリアルタイムに送られてくる動画、いわゆる「生配信」である。
ここの設備はおそらくだが明石市内とその近郊のすべての国の野良GSIのデータを受信できているのだと思う。
実にさまざまな場所の画像があるのだ。
読者諸君はもうお気づきだろう。
俺が高ランクのGSIハンターなのはこの設備のおかげである。
もちろん写った画像だけでは場所の判別ができないことが多いが、うまく行けば周囲の目標が映り込み、そのGSIがいる場所がわかることも多い。
そうしたらその場所に急行し、銀のフォークで狩るわけだ。
今日もモニターでGSIをチェックする。
今日は一匹だけだが発見した。
しかもその風景には見覚えがある。
うちの中学校の廊下だ。
昨日も一匹仕留めたし学校に何かエサでもあるのか。
学校に戻ろうとした時、二人の人物が映り込む、GSIには気がついていないようだ。
「横取りされてはかなわいからな、そのまま行け!」
思わずひとりごとを言ってしまった。
これは二人がどこかへ行くまで待つしかないしばらく観察することにした。
気がついて狩られてしまったら諦めるしかないな。
ところがとんでもないことが起きてしまう。
二人は何か言い争いをした挙句一人が銃で撃たれて倒れてしまったのだ。
GSIは音声も拾う。
間違いなく銃声である。
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