48話:歓迎 ~ ワザとなのか? ~
テーブルの上に現れた真っ黒な人影――
「「「ひぃっ!?」」」
あまりに距離が近く、油断していた為に誰も立ち上がることが出来ない。
その場で完全に固まり、3人は引き攣った顔のまま言葉を失っているが、
「おー、噂をすれば何とやらだな。まさか向こうから現れてくれるとは」
「ですね。まぁ言っても、そもそもこのログハウスに我々がお邪魔している形なので、向こうからしてみれば我々が勝手に現れた訳ですが……いえ、既に物件を購入した以上、やはり我々はお邪魔された側かも知れません」
いきなりの
そもそも相手が幽霊ではなく、まだ生きている人間の魂である可能性が高いというのも1つの要因だが、ともあれ。
先ほど
何をするでもなくこの場から離れず、黒い人影を5人の視線に晒し続けている。
「一体何だ? 何をするでもなく、かと言って消え去るでもなくこの場に居るが……何か伝えたいことでもあるのか?」
「その可能性は無きにしも在らずですが、しかしながら先程も申し上げた通りです。
「だとしても、試してみないことには始まらない。――なぁ、俺達に何か用か?」
人型とはいえ真っ黒い影の姿で、加えて陽炎の様にユラユラと揺れ動いている為、どちらを向いているのか、こちらが見えているのかもわからない。
反応らしい反応も無く、この数秒間の沈黙で「はッ!?」とエリスが我に返る。
「な、何してるッ、早く逃げるのだ!!」
「そ、そうだよ
これに
「待って二人共。もし本当に、この黒い人影が
「それは……確かにそうかも知れませんが……」
反論、とも違う。
何か言い返そうとして、だけど返しが思いつかず、エリスはグッと両拳を握る。
「――わかりました。ウイ
「とか言いつつ、ボクの膝に乗って来るのはどういう理由?」
「コレはただのスキンシップです。決して
「なるほど。そういうことにしておこうか」
膝に乗り、
逆に一人残されたのは、エリスと共に逃げようと提案した
空気を読んで逃げるのは諦め、代わりに
座っていた椅子を
「さぁ
「お、おう……(普通に“胸が当たってる”んだが、ワザとか? ワザとなのか?)」
ただ、それを差し置いても無視出来ないのは目の前の
今のやり取りの間も変わらず目の前に漂い続けており、森の
(これだけ消えないってことは、やっぱり何か俺達に用があると考えていいのか? ……わからん)
考えてもわからないことは、実践あるのみ。
オホンッと1つ咳ばらいを入れ、それから
――――――――――――――――
~ チャレンジ一人目:
「え~っと、とりあえず自己紹介しておくか。俺は
『………………』
「言葉が出せないなら、何か動きで意思表示できるか? 俺の言葉が聞こえてるなら、一回その場でジャンプしてみてくれ」
『………………』
「何も反応が無いのは、俺の言葉が聞こえてないってことか? それとも言語的に認識出来ないのか?」
『………………』
「駄目だな。次、ビクトリアさん頼む」
「えっ、私もですか?」
「こういうのは個人差があるかも知れないだろ? ほら、霊感があるとか無いとか人によるって言うし。せっかくの機会なんだから出来ることは試しておこうぜ」
「ふむ、それもそうですね。望みは限りなく薄いですが、万が一コミュニケーションに成功したら、異世界庁にもっと大きな顔が出来ます。使える権限を今以上に増やして貰いましょう」
下心を隠さない世話係:ビクトリアが、
――――――――――――――――
~ チャレンジ二人目:ビクトリア ~
「Hallo(こんにちは). I am Victoria(私はビクトリアよ). And you are?(アナタは)?」
「何で英語なんだよ?」とは
「何故って、オリアナさんのご両親は英語圏の方ですよ。今は日本在住で日本語も堪能らしいですけど、10年前は家の中で英語を使っていた可能性もありますし」
「そういう情報は先に言ってくれよ……」
最早反応しないことが一種の反応なのではないかと、そんな言葉遊びの様な気持ちを抱いてしまうレベルだ。
「どうやら私も駄目そうですね。“
――――――――――――――――
~ チャレンジ三人目:
「こ、こんにちは。ボクの声って聞こえてるかな?」
『………………』
「
『………………』
これまた反応は無し。
続けて流れ作業の如く、ダークエルフの少女に順番が回る。
――――――――――――――――
~ チャレンジ四人目:エリス ~
「おいッ、そこの
「ん?」と首を捻る
彼女の膝の上で、怖さよりも怒りが勝って来たエリスは更に声を張り上げる。
「そんなことより貴様ッ、ウイ
「いや、立ち去らせたら駄目だから」
そして、最後に残ったは“一番可能性が低かった”
唯一の男性である
ここまでの流れからも「どうせ駄目だろう」という空気が流れていたところに、まさかの結果が生じる事となる。
――――――――――――――――
~ チャレンジ五人目:
「あの~、私の声って聞こえます? 聞こえないですよね? ……いやまぁ、そうだと思ってましたけど」
『………………』
残念ながら
諦めムードが漂うも、それも致し方ないこと。
異世界庁が10年成果を上げられない事柄が、昨日の今日でそう上手く行く筈が無いのだ――と、
『……マミー?』
「ッ!?」
――――――――――――――――
*あとがき
続きに期待と思って頂けたら、本作の「フォロー」や「☆☆☆評価」を宜しくお願いします。
お時間ある方は筆者別作品「■黒ヘビ(ダークファンタジー*挿絵あり)/🦊1000階旅館(ほのぼの日常*挿絵あり)/🌏異世界アップデート(純愛物*挿絵あり)」も是非。
🍓【ロリ巨乳の幼馴染み彼女が異世界からやって来たイケメン勇者に寝取られたと思ったら、実はイケメン勇者が男装した美少女で、しかも10年前に生き別れた血の繋がっていない妹だった話】 ぞいや@4作品(■🦊🍓🌏挿絵あり)執筆中 @nextkami
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