31話:内緒 ~ 乙女の感 ~
~
大型のキャンピングカー:モーターホームに残された2人は、特にやることも無くソファの上で暇を持て余していた。
今の時間を利用してシャワーを浴びればいいのでは? という疑問も浮かぶだろうが、それは
『二人共、私が戻ってくるまで勝手にシャワーを済ませちゃ駄目だからね?』
この発言の真意は今更だろう。
トイレの時と似たような理論で、尚且つ自分が居ない時に裸となる行為を
かくして現在進行形で暇を持て余している
「そう言えば
明日の天気を尋ねる程度のノリで。
何の気無しに、だけど気になって尋ねてみたら、
「あ~……まぁトイレなら大丈夫だよ。お昼食べる前に済ませたからね」
「そうか。それなら大丈夫――って、ん? 昼飯の前に済ませた? ってことは、つまり……?」
「うん、見たよ。
思わず唾も吐くというもの。
遅れて知った過ぎ去る事実に
「ゲホッ、ゴホッ……えっと、それマジで言ってる?」
「うん、大マジだよ。漏らす訳にもいかないし、
だから仕方ないと、
「ま、ボクは長らく
「うおいッ、言い方!! いや、言い方の問題でもねーけど!!」
どんな言葉で表そうと、見られてしまった事実は変わらない。
とはいえ、漏らす訳にはいかないという彼女の言い分はその通りで、当然彼女もそれを盾にする。
「どうせ明日まで我慢するのは無理だったし、
「そ、それはそうかもだけど……」
「それにさ、見たと言ってもジロジロ観察した訳じゃないから、あんまり気を悪くしないでよ。極力“触らない”ようにも気を付けたし」
「う~ん……まぁ、う~ん……何とも言いようがねぇな」
魂が入れ替わった状況と二人を取り巻く関係性。
その他諸々を踏まえると、不可抗力というか致し方ない部分があるのも確か。
どのみち文句を言ったところで起きた事実は変わらないし、あまりグタグタ文句を言っても時間の無駄か。
それに、考えようによっては事実を逆手に取ることも出来る訳で。
「フッフッフッ」
敢えて、腕組みした
「俺の身体が勝手に見られたんだから、お前の身体だって好きに見てもいいってことだよな?」
「うん、いいよ。何処が見たい?」
「え? いや、それは……え?」
「“上”と“下”、
「ッ~~!!」
ちょっと
美少女の顔を真っ赤に染めて、
「じょ、冗談だって。今のはちょっと
「ボクは別に、
「いや、だから冗談だって。マジで冗談だ。忘れてくれ」
「本当に? このまま冗談で終わらせていいの?」
グイっ。
結果として
「
「何も駄目じゃないし、ボクは冷静だよ。冷静だから、腕力で優る
更には太腿で脚を抑えて逃げ道を塞ぎ、
そしてそのまま、ゆっくりと顔を近づけた。
「
「
「ただいま!!」
「「わッ!」」
不意の声掛けで、飛び跳ねる様に二人の身体が離れる。
慌てて振り返った先には、扉が開き切る前に、隙間から捻じ込む様に身体を入れ込んで来た
「はぁ、はぁ、はぁ」と呼吸を荒げており、乱れて額に張り付く髪の毛が、相当急いで来たことを物語っている。
「どうした
「ちょっとね、私のレーダーが……はぁ、はぁ、反応したから。それで二人が破廉恥な事してないかと、慌てて戻って来たの。ふぅ~」
「な、何だよレーダーって。そんなの何処にあるんだ?」
「それは勿論、“乙女の感”だよ」
「………………」
温泉に浸かって頭がのぼせたのだろうか?
普通なら馬鹿馬鹿しいと一蹴することも出来る話だが、今の
破廉恥かどうかはともかく、人気のない密室で
ただの偶然だとは思うものの、「乙女の感」と言われれば妙な納得感も覚えてしまい、多少の後ろめたさもあって強く否定することは
それは
「
「私のヘタ? ――あぁ、頭のくせっ毛のこと?」
「そう。全体的にペタっと頭にくっ付いていたと記憶してるんだけど、今は上に向かって逆立ってるね。湯上りはいつもそうなのかい?」
「ううん、そんなことは無いんだけど……あ、でも。言われてみると、
「ボクが来てから?」
「そうなの。もしかして
「いやぁ~、そんな自覚は無いけど……」と、3人での会話はここまで。
エリスとビクトリアが遅れて戻って来て、
その後は「夕飯(市販のレトルトカレー + サラダ)」の流れとなり、
何だかんだで疲労もあったのか、日付が変わる前に、全員が夢の中へと意識を落としていった。
――――――――
――――
――
―
■
~ 翌朝 ~
窓の外に映る景色を見て、
「えっ……何で雪が降ってるんだ?」
――――――――――――――――
*あとがき
【2章】の完読ありがとうございます。
次話から【3章】:『ウイ姉様の洗脳解除合宿(前編)』】となります。
(思ったより長くなったので、『ウイ姉様の洗脳解除合宿 』を章分けしました)
続きに期待と思って頂けたら、本作の「フォロー」や「☆☆☆評価」を宜しくお願いします。
お時間ある方は筆者別作品「■黒ヘビ(ダークファンタジー*挿絵あり)/🦊1000階旅館(ほのぼの日常*挿絵あり)/🌏異世界アップデート(純愛物*挿絵あり)」も是非。
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