17話:制度 ~ ハーレムを覗く時 ~
きっと時間が解決してくれるだろうと
先ほど
それをポロリと、ダイニングテーブルの彼女が吐露する。
「わかってたつもりなんだけどさー、やっぱり
「……何だいきなり、急にどうした」
「玄関での話の続きだよ。ボクと一緒に暮らすかどうか、そこに
「お前が“普通の妹”ならな。だけど
「その答えは、ボクが悲しむんだけど?」
「悪いが、そこだけは譲れないんでな」
キッパリと、
ここを「なぁなぁ」で誤魔化すのは、曖昧なまま流すのは誰の為にもならないと。
それで
結果的に、
「言っておくが、お前が悲しむのだって俺は嫌なんだぞ? まぁ悲しませた俺が言うのもアレだけど……出来れば
「それはつまり、
「え? う~ん……まぁ、二人が幸せになれるなら、それが一番だとは思うけど」
「それなら――ッ」
突っ伏していた顔を持ち上げ、
「やっぱり、ボクが
「いや、何でそうなるんだよ!?」
「あ、やっぱり愛人って言い方は辞めて、ここは“第二婦人”って呼ぼうか。その方が
「おい、俺の話聞いてるか? ってか、どっちも変わらねーだろ」
愛人も第二婦人も、
複数の女性を
コレは
「どっちも変わらなくはないよ。ボクが居た異世界では『ハーレム制度』のある種族だっていたし、地球にだって『一夫多妻制』を採用している地域はある。そこでは第一婦人・第二婦人・第三婦人なんて言い方してて、だけど数字は順位じゃなくて結婚した順番ってだけなんだ。婦人は皆平等って扱いで、だからこそ第二婦人や第三婦人の権威も守られるんだよ。つまり、
「いやいやいや。“つまり”で話が繋がっている様には思えないんだが?」
「そこは
「意味がわからん……」
かの有名な哲学者:ニーチェの格言が1つ。
深淵を覗く時、深淵もまた――という言葉をもじったモノなのは予想がつくものの、そんなどうでもいい考察は一旦忘れて。
どうやら元気が出た(?)らしい
「俺の話は置いておいてさ、そっちはどうなんだよ?」
「どうって何が?」
「エリスだよ、あのダークエルフの子。昨日は黒スーツの
「ん~、だろうねぇ。エリスは執念深いから、多分また来ると思うよ。ボクに仕掛けて来るか、それとも
「俺、また誘拐されるのは嫌だぞ」
「流石に同じ手は使わないと思うけど、エリスのことだからねぇ。結構強引な手段を使ってくる可能性は――」
呼び鈴が鳴り、二人の会話は一時中断。
この時、
すぐ傍にあるインターフォンのモニターで来訪者を確認すると、
「
「いいも何も、対応しない訳にもいかないでしょ」
急かす様に再び呼び鈴が鳴る。
更に、連打。
「だぁーうるせぇッ!! 何度も人ん
見かけによらず黒スーツ女性のマナーは悪いらしい。
勢いよく扉を開けると――
「あ痛ッ!?」
――赤羽家の玄関扉が、出逢い頭の衝突事故。
不幸にも黒スーツの女性が被害に遭ったかと思ったら、まさかの別人。
玄関先でしゃがみ込み涙目で額を抑えていたのは、肩やお腹や太ももを大きく露出した衣装を纏う、長い耳と褐色の肌を持つダークエルフの少女:エリスだった。
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